都市伝説・考察・陰謀・不思議・オカルト

音楽で霊的統合を果たした出口王仁三郎とアレイスター・クロウリー

神島開きの大逆転

筆者がJINMOと10年ぶりに再会したのは2018年の5月のことである。

その日、筆者はたまたま渋谷のNHKふれあいホールギャラリーで開催中のJINMOの美術展の会場を訪れた。

JINMOは、欧米でマニアックな人気のある超絶技巧のギタリストであり実験音楽家。1998〜99年に学研プラッツから『モガリ・イヴ』をはじめアルバム4枚をリリース、「ムー」にインタビュー記事が掲載されたこともある。

その彼はまた視覚芸術の優れた表現者でもある。それで会場を訪れたのだが、その日の会話のなかで、筆者は彼が播ばん州しゅう高砂沖の神島を一望のもとに眺める対岸の高台に生を享うけ幼少時を過ごしたことを知り、驚いた。

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神島にてギターを弾くJINMO(写真=JINMO)。

 

神島は出口王仁三郎の神霊である坤の金神(豊雲野尊)が幽閉されていたとされる重要な大本の聖地である。

再会して数週間後、スタジオを訪れた筆者に、JINMOは不思議な音源を聴かせてくれた。

かすかに王仁三郎の唱える祝詞が流れるなか、何やら呪文を唱える低い声が聴こえる。パーカッションやシンセサイザーなど音の洪水がふたつの声を包み、やがてそれらは重層的なドローンの響きの中を攪拌されて旋回をはじめた。その濃密な音像に筆者は圧倒された。軽く目を閉じると、薄もやの彼方に神島の風景が広がる。島の上空には満月が輝いていた。

「これ低い声はクロウリーだね。クロウリーのエノク語の呪文!」

JINMOはにっこりと頷いた。ちなみにエノク語とは、16世紀イギリスのヘルメス学者ジョン・ディーが霊媒エドワード・ケリーを通じて与えられた「天使の言語」である。JINMOは、筆者がドラムやシンセだと思った音もすべて王仁三郎とクロウリーの声から生成されたものだと説明をはじめた。

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アレイスター・クロウリーの音声を解析した、3Dスペクトログラム(iZotope社のINSIGHTを使用)。基本周波数は約150ヘルツ(作成=JINMO)。

 

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王仁三郎の音声の3Dスペクトログラム。基本周波数は約300ヘルツで、クロウリーのおよそ2倍。

 

王仁三郎とクロウリーの声には興味深い特徴がある。両者ともたいへん力強く明瞭な倍音を含み、それが声に霊的な響きを与えている。

さらに基本周波数とフォルマントのスペクトル解析をすると、王仁三郎の喉こう頭とう原音の基本周波数は約300ヘルツ。クロウリーの約150ヘルツのほぼ2倍になる。周波数が倍ということは、ちょうど1オクターブだ。

合成した場合の親和性は非常に高い。JINMOは声の合成実験をはじめた。彼らが残した録音物中の文節や単語、音節を合成し、さまざまな処理を加えるうちに、まったく異なる者の声、異なる生物の声、ある種の楽器音などのようなものが生成されていった。

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そしてできたのがこの楽曲だというのである。爪や髪や血液にDNAが遍在するように、分解され結合されても、そこには王仁三郎とクロウリーの「声」の原質が宿っている。音像の異様なまでの衝撃性の核心はそこにあったのだ。

筆者はその場で作品のプロデュースを申し入れた。こうして誕生したのがJINMOのニューアルバム『精神核 Mensa Nuklea』である。

 

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(ムー2019年7月号より抜粋)