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超レアなミニムーンの流星から太陽系の起源にせまる

2012年10月17日米国カリフォルニア州で撮影された火球の爆発。/Credit: NASA/Robert P. Moreno Jr.
point
  • 夜空で燃える火球と呼ばれる流星の中には、一旦地球の軌道に捕らわれるミニムーンが存在している
  • ミニムーンは小さいため発見が難しいが、火球を調査することで形成や配置について知ることができる
  • ミニムーンの研究が進めば、小惑星のサンプルを地球近傍で安価に入手できるようになる

夜空で時折観測される火球は、小惑星の欠片が地球へ飛来して大気圏で燃え尽きているものです。

こうした小惑星の欠片の中には、すぐに地球には落ちずに地球の軌道上に捕らわれて一時的な衛星になっているものがあります。これはミニムーンと呼ばれています。

JAXAの探査機イトカワは、小惑星まで出かけて行き、表面を採掘してサンプルを手に帰還するという非常に困難なミッションを行っています。

しかし、もしこうしたミニムーンを補足できるならば、このミッションはもっとずっと安価で簡単に実現できる可能性があるのです。

ただ、ミニムーンは小さすぎるため基本的に補足できません。そこで、ミニムーンの火球が役立つかもしれないのです。火球はその速度や入射角でミニムーンによるものか判別することが可能です。

これを研究することで、小惑星の欠片が地球軌道に捕らわれミニムーンになるメカニズムや、どのような軌道で地球を周回しているかが解明できるかもしれないのです。

オーストラリアのカーティン大学の惑星科学者Patrick Shober率いる研究チームは、地球に落ちる火球の中にミニムーンが存在していることを確認し、ここからミニムーンの詳細を研究しようと試みています。

この研究は、10月19日付けで、天文学の学術雑誌『The Astronomical Journal.』に掲載されています。

Extreme bradycardia and tachycardia in the world’s largest animal
https://doi.org/10.1073/pnas.1914273116

複雑な軌道で地球を回るミニムーン

ミニムーンはその名の通り、非常に小さな月の仲間です。

それは小惑星から剥離した欠片が地球軌道に捕らわれることで衛星となったもので、サイズは大きくとも1メートル程度、小さいものは60センチメートル程度しかありません。

そのため、観測により探知することが難しく、また月や太陽の重力の影響を受けやすいため綺麗な円形の軌道で動きません。

ミニムーンの複雑な軌道の例。黄色い線で地球軌道に捕らわれた後、太陽重力に捕らわれて赤い線を辿って離脱する。/Credit:K. TERAMURA/UH IFA

ハワイ大学などの天文学者チームが2012年に行ったスーパーコンピューターによるシミュレーションでは、ミニムーンが非常に複雑な経路で地球を周回し、太陽重力に捕らわれて離脱していく様子が示されています。

わずか1メートル程度で、こんな軌道を描く物質を捉えるというのは、確かに簡単なことではないとわかります。

このため、ミニムーンは多くの研究者が関心を寄せながらも、そのほとんどが謎に包まれたままなのです。

ミニムーン解明の鍵を握る火球

そうした中、2016年8月にオーストラリアの砂漠で興味深い火球が観測されました。

今回の研究者たちによると、その火球はミニムーンであったものが大気圏に落下し燃え尽きたものだったというのです。

研究者たちは火球の速度や軌道角度を調べれば、それがミニムーンであったか判別することが可能だと言います。

観測された火球は速度が秒速11キロメートル以下で、ほぼ水平な角度で地球大気へ侵入していました。速度が遅いことは、地球を周回していたことを示しており、角度は基本的に地球を周回していた場合より小さな角度になります。

研究チームの計算では、この火球がミニムーンであった可能性は95%だとしています。

こうした火球をより多く観測しデータを集めていくことで、ミニムーンが地球の重力に捕らわれるメカニズムや、どういった飛行経路を取っているかに対する理解が深まると言います。

小惑星は46億年前からほとんど変化しておらず、太陽系の歴史を知るための貴重な資料と考えられています。

探査機イトカワなどは、そんな貴重な小惑星のサンプルを手に入れるために、困難なミッションを行っています。

天文学者たちは最終的には、粉塵のような僅かなサンプルではなく、小惑星の有人探査を実現させて十分なサンプルを手にして調査を行いたいと考えていますが、それは現状では遠い夢となっています。

しかし、そんな小惑星のサンプルが実は地球のすぐそばをずっと周回しているのです。これを上手く捉える方法が確立されれば、太陽系の起源にせまるサンプルを、より少ないリスクと低いコストで回収できると考えられています。

現在のところミニムーンによる火球の観測は2回だけだそうですが、流星の観測から太陽系の起源にせまる方法を探すというのは面白い研究です。

夜空を落下する「火球」の正体、実はかなりヤバいと判明

reference:phys,sciencealert/ written by KAIN