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論文タイトルにハイフンが含まれると引用数が減ることが判明

Point

■学術論文のタイトルにハイフンが含まれているかどうかが、論文の引用数に影響することが判明

■特定の分野内であっても、論文タイトルに含まれるハイフンの数が引用数に影響

■JIFが高い雑誌ほど、タイトルにハイフンを含む論文の掲載率が低い

たかがハイフン、されどハイフン!?

学術論文のタイトルにハイフンが含まれているかどうかが、論文の引用数に影響することが判明した。

引用数は、出版された学術論文の影響力を定量的に測定するための評価基準の一つだ。引用数を測ることは、それが掲載された雑誌、学術団体、研究者個人にとって、重要な指標となる。

もし、その尺度そのものに狂いが生じていたとしたら…大問題だ。この衝撃の事実を明らかにしたのは、香港大学とウーロンゴン大学(オーストラリア)の研究チームだ。論文は、「IEEE Transactions on Software Engineering」に掲載されている。もちろん(?)、論文タイトルにハイフンは使われていない…。

Metamorphic Robustness Testing: Exposing Hidden Defects in Citation Statistics and Journal Impact Factors
https://ieeexplore.ieee.org/document/8708940

犯人は「長さ」ではなく「ハイフン」だった

ScopusとWeb of Scienceはどちらも、代表的な学術文献と引用牽引の統計分析データベースだ。

Scopusは、Times Higher Education社(英国のTimes社が新聞の付録冊子として発行する高等教育情報誌)や、クアクアレリ・シモンズ社(英国の大学評価機関)が毎年公表している世界大学ランキングのベースになっている。また、Web of Scienceは、主要学術誌の格付けに大きな影響力を持つ。

極めて重要なこれら2つの指標の質を確かめるため、研究チームは「ロバスト性試験」を行った。つまり、誤った入力や予期しない状況に対処するシステムの能力を判定する評価試験のことだ。たとえば、「論文タイトルに微細なスペルミスなどがあった場合に、システムがその引用を正しく認識するか?」を測ることができる。

Credit: pixabay

研究チームは「変形ロバスト性試験」という新手法を用いて評価を行い、その結果、ScopusとWeb of Scienceがともに、タイトルにハイフンを含む論文の引用数が誤ってカウントすることを暴き出した。

実は2015年にも、別のチームがScopusの大規模調査を通じて、タイトルが短い論文の方が、長いタイトルの論文よりも頻繁に引用される傾向をすでに発見していた。つまり、タイトルが長いほど、引用数が少なくなるということだ。

これに対し、今回の研究チームは、引用数に影響を与えていたのが、タイトルの長さではなく、実はタイトルに含まれるハイフンの数だったことを突き止めた。通常、タイトルに含まれるハイフンの数は、タイトルの長さに比例する。そのことが、引用数がタイトルの長さに依存するという誤解に繋がったのだろう。

インパクトファクターにさえ悪影響

引用の習慣は、研究分野で違いがある。たとえば、化学系の論文のタイトルには、科学用語の一部としてハイフンが頻繁に登場するが、他論文に引用される機会はどちらかといえば限られている。これは、タイトルに多くのハイフンを含むために、実際よりも少ない引用数が算出されるからかもしれない。

研究チームが特定の分野に絞り込んで調べたところ、特定の分野内であっても、ハイフンの数が引用数に影響することが確認された。

Credit: The University of Hong Kong

さらに研究チームは、論文タイトルに含まれるハイフンの影響を雑誌レベルでも調査した。「インパクトファクター (IF)」は、学術誌の引用頻度を決定するために用いられる計測法の1つで、特定の分野における雑誌の重要性を示すために用いられる。

ソフトウェア工学分野の雑誌を広範に調べたところ、JIFが高い雑誌ほど、タイトルにハイフンを含む論文の掲載率が低いことが、明らかになった。

これらの事実は、引用数を論文の貢献度や重要性を表す指標として固く信じてきた学術機関・政府・基金団体を震撼させることだろう。論文の質とはまったく無関係なハイフンの存在が、これらを歪めてしまうのだ。同様に、IFの妥当性が怪しいと分かったことも、かなりの大事件である。

小さなハイフンがもたらす衝撃は計り知れない。

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reference: phys.org / written by まりえってぃ