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自分しか知らない情報によって感情の強さを見誤る、恐ろしい「自己中心性バイアス」とは

自己中心性バイアス

Point

■児童期はもちろん、大人になっても、自分の有する知識によって、他者の心の状態をとらえてしまう「自己中心性バイアス」が見られることがある

■神戸大学の研究で、「他者の感情の理解」という情動的領域でも、自分の有する知識によって自己中心性バイアスが見られ、児童期で特に強く生じることが明らかに

■自己中心性バイアスを避けるには、自分の意識構造への理解が大切なのではないか

 

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すでに知っている知識が邪魔をして、他の知識を誤って解釈してしまう失敗は多々あるだろう。これは自己中心性バイアスと呼ばれる、誰にでも起こる現象だ。

神戸大学大学院人間発達環境学研究科の林 准教授らの新しい研究で、その現象が認知的領域だけでなく、情動的領域でも生じることがわかった。

しかもそれは大人になっても起きるらしい。

私たちは予想以上に「自分の知らないこと」に目を向けるのがヘタくそなのだ。では、そんなバイアスをかいくぐる手段はあるのだろうか?

他人の感情における自己中心性バイアスを調査

3歳頃までの子供にとって、他者の視点に立って理解するのは難しい。

こういった自分中心に物事を把握してしまう傾向は年齢が上がるにつれて弱まるが、それでも無くなるわけではない。人によっては「精神年齢おいくつですか?」という状況もありえるのだ。

ではそれは「他者感情」への理解でも発現するのだろうか?

ここで本研究の実験を一部抜粋しよう。

まず、2つのシチュエーションにおいて主人公(女の子)がどの程度悲しんでいるかアンケートをとった。

ネガティブ状況の場面の例 / Credit: 神戸大学

【意図的】女の子が積み木で遊んでいるところ、近くにいた男の子が「わざと」倒してバラバラにした。

【偶発的】女の子が積み木で遊んでいるところ、近くにいた男の子が「うっかり」倒してバラバラにした。

ここではもちろん、「意図的」に壊されたほうが女の子は悲しいだろう。アンケート結果もそのようになった。

ではこの情報を踏まえた上で今度は、「女の子は、積み木が崩れた時は部屋を離れており、犯人が意図したかどうかはわからない」という条件に変えてアンケートを実施。

当然現場を見ていないのだから、女の子が受けた悲しみは意図的だろうがうっかりだろうが変わらないはずだ。

しかし被験者は前回の質問で「意図的」「偶発的」シチュエーションを知ってしまっている。

なんと女の子が犯人を知らない条件だとしても、「意図的」シチュエーションのほうが女の子の悲しみが大きいと判断した被験者が複数いたようなのだ。

感情理解質問の結果。子供のほうが「知らない」条件の得点が高い。 / Credit: 神戸大学

このように認知的能力だけでなく、私たちの感情や共感能力といったものもしばしば他の情報に惑わされがちなのである。

じゃあどうすればいいの?

私たちの判断は常にあらゆる前提情報やバイアスに晒されている。

例えば経済行動学者ダニエル・カールマンが提唱する「ファスト&スロー」では、人々の判断を、脳が省エネできる「早い思考(ファストシンキング)」、脳の負担が大きい「遅い思考(スローシンキング)」に分けて捉えている。

表情から相手の感情を推測するといった情動的理解は、大体この「早い思考」によるものだ。

とはいえ、常に遅い思考を張り巡らせるのは心身ともにキツい。

心理学に後知恵バイアスというものがある。物事の結果に至るまでのプロセスを考慮しない、結果ありきの思考だ。私たちが芸能人が離婚した時なんかに「あ〜最初から離婚すると思ってたんだよね」と言いたくなるアレである。

本研究が「他人」への想像力の欠如なら、これは「ネガティブな結果の回避」などの動機による「その出来事を知らなかった時の自分」への想像力の欠如ともいえるだろう。

このような自分への想像力の欠如は、そのまま他人への想像力の欠如となるのだ。

物事を「全て」「完全に」「正しく」理解することなど人間には不可能である。よっていかに自分が親や友人、メディアなどからバイアスを作られているか自覚するかが、よりクリアな思考への道なんだろう。

 

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reference: 神戸大学 / written by cocology staff

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