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未知の「太陽系第9惑星」は超小型のブラックホールかもしれない

プラネット・ナインの想像図。右上は太陽と海王星軌道。/Credit:ESO/Tom Ruen/nagualdesign

Point

■太陽系外縁の天体に見られる重力的な影響から、太陽系には地球10個分程度の質量を持った第9惑星が存在すると予想されている

■この第9惑星「プラネット・ナイン」について、実は惑星ではなく原始ブラックホールではないかと予想する論文が発表された

■初期宇宙の密度の揺らぎから生まれた原始ブラックホールは、理論上「プラネット・ナイン」の予想質量でも成立可能で、その場合サイズはボーリング程度になるという

ちょっと前まで、太陽系の第9惑星と言えば「冥王星」でしたが、残念ながら彼は岩の塊に降格されてしまったため、太陽系第9惑星のポストは現在空席になっています。

この空席に収まる可能性のある天体が、2016年頃から科学者の間で囁かれるようになりました。

それが「プラネット・ナイン」と呼ばれる未知の天体です。

重力的な影響から考えると、太陽系外縁には地球の10倍程度の質量を持った、巨大天体が存在する可能性が高いというのです。

「プラネット・ナイン」はその名の示すとおり、巨大惑星でいある、というのが大方の予想です。しかし、それが惑星ではなくブラックホールかもしれない、と予想する論文が発表されました。

さすがに太陽系にブラックホールは無いだろう、と思うかも知れませんが実は宇宙初期に誕生した原始ブラックホールは、理論上10万分の1グラムでも形成可能なのです。

この予想が正しければ、本当に太陽系に非常に小型のブラックホールを見つけ出せるかもしれません。

この論文は、アメリカのイリノイ大学、イギリスのダラム大学の研究者の共著で発表され、現在はコーネル大学arXivにて公開されています。

What if Planet 9 is a Primordial Black Hole?
https://arxiv.org/abs/1909.11090

プラネット・ナインの存在を示す証拠

現在太陽系のもっとも外側を回る惑星は海王星と考えられていますが、そのさらに向こう側には太陽系外縁天体と呼ばれる、太陽系の軌道に属する惑星未満の岩の塊が回っています

この外縁天体は、非常に偏った楕円軌道を描いていることがわかっていて、地球質量の5倍から15倍の質量を持った物体によって運動を乱されているようだと指摘されています。

その謎の物体を科学者たちは「プラネット・ナイン」と名付けて探しているのです。

「プラネット・ナイン」は、存在するとすれば海王星軌道の20倍、700天文単位(地球と太陽の距離を1とした距離単位)の半径を持つと考えられていて、1万年から2万年かけて太陽の周りを公転するとのこと。

太陽系外縁天体の軌道とプラネット・ナインの軌道(赤点線)。/Credit:Wikipedia Commons /nagualdesign

「プラネット・ナイン」の存在について、最初に言及した論文は2016年に発表されました。その後観測や調査が進められましたが、光学観測での発見には至っていません。

しかし、重力マイクロレンズ効果による光の歪みなど、惑星サイズの重力を持つ天体が銀河からの光を短く歪めていることも発見されています。おそらく「プラネット・ナイン」が存在することは確かなのでしょう。

では遥か遠方の天体も観測可能な現代に、なぜ「プラネット・ナイン」はいつまでも発見することができないのでしょうか?

数グラムでも形成可能! 原始ブラックホールとは?

Credit:NASA / JPL-Caltech

今回の論文では「プラネット・ナイン」は原始ブラックホールではないか? という予想が述べられています。

原始ブラックホールとは、初期宇宙で誕生したブラックホールです。よく天文学で初期宇宙というと、ビッグバンから数億年といった「どこが初期なの?」というスケールで語られることが多いですが、この理論における初期宇宙はビッグバンから1秒以内を指しています。

この高圧高温の初期宇宙の中に、大きな密度の揺らぎが生まれたとき、その領域が重力崩壊してブラックホールが生成されるというのです。

一般的な認識では、ブラックホールは星の崩壊によって生まれるもので、巨大な質量がなければ形成できない印象があります。

しかし、実際ブラックホールが形成される条件というのは、物質の質量と半径(サイズ)によって決定されます。このある質量の物質がブラックホール化する半径が、シュワルツシルト半径です

地球質量の場合半径9mm程度、太陽質量なら半径3km程度に圧縮されると、その物質はブラックホールになってしまいます。

現在の宇宙でこれほどの高圧高密度の状態が達成されることはありませんが、ビックバン一秒以内の初期宇宙では、理論上10万分の1グラムという質量でもブラックホールが形成可能だったと考えられています。

これが原始ブラックホールです。

ブラックホールは、ホーキング放射というものを起こしていて蒸発しています。そのため、理論上の最小サイズのブラックホールはもう生き残ってはいませんが、地球質量レベルならば、宇宙初期から現代まで安定して存在を保っているだろうと考えられています。

しかし、この原始ブラックホールについても、現在は理論上の存在で、実際に発見されてはいません。

プラネット・ナインは発見できるのか?

もし「プラネット・ナイン」が地球質量の10倍程度の原始ブラックホールだった場合、その大きさはボーリング程度になってしまいます

こうなると、光学的な放射を見つけることは難しく、赤外線探査や一般的なブラックホールの検出に使われるガンマ線観測でも検出することは非常に難しいと考えられます。この天体の発見には、それ専用に設計した新しい望遠鏡が必要になるだろうと言われています。

LIGO(レーザー干渉計重力波観測所)の観測装置アップグレードの様子。/Credit:LIGO / Caltech / MIT / Jeff Kissel

「プラネット・ナイン」が原始ブラックホールなのかは、まだ明らかではありません。しかし本当に、こんな身近に地球の数倍程度の原始ブラックホールが存在しているとしたら、それは世紀の大発見となります。

遠いとはいえ、太陽系外縁は決して到達不可能な距離ではないため、このとき初めて、人類は間近でブラックホールを観測する機会を得るのかもしれません。

この論文には実際かなり無理がありますが、「ありえない」と言い切ることはできないと、論文を読んだ天文学者は語っています。

探索するべき条件を絞って調査を行うことは、天体の発見に非常に重要な要素です。突飛ではあっても、こうした様々な可能性について仮説を立てていくことが、科学の発展にはとても大切なことなのです。

プラネット・ナインは存在する? いよいよ状況証拠が固まってきた模様

reference:gizmodo,vice,ICRR/ written by KAIN