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暗黒物質の新しい「3Dマップ」が発表、現在の物理法則における不備が示される?

Credit: HSC Project
Point
■すばる望遠鏡の高性能カメラを使って、重力レンズ効果から暗黒物質の立体地図が作られる
■作られた立体地図によって、暗黒物質の進化が考えられていたよりもゆっくりであることが示唆される
■統計による変動でないとすれば、標準模型や一般相対性理論といった現在の物理法則に何らかの不備があることになる。

何か目に見えない力が、私たちの宇宙に影響を及ぼしているようです。

見ることも検出することもできない暗黒物質。暗黒物質は、重力を介して、私たちが見ることのできる通常物質と相互作用しています。

天文学者たちの国際チームが、アインシュタインの一般相対性理論に基づいた1000万個に渡る銀河の解析を行い、最も包括的な宇宙の歴史における暗黒物質の地図を作成しました。

まだ査読を通ったわけではありませんが、その地図から、予想外のことが示されています。暗黒物質の進化が、思われていたよりもずっと遅いかもしれないということです。研究は「Publication of Astronomical Society of Japan」に受理されており、現在は「arXiv」で読むことができます。

Cosmology from cosmic shear power spectra with Subaru Hyper Suprime-Cam first-year data
https://arxiv.org/abs/1809.09148

重力レンズ効果で、暗黒物質をあぶり出す

カブリ数物連携宇宙研究機構の日影千秋特任助教授は、「今後さらなるデータで私たちの結果が裏付けられれば、標準模型や一般相対性理論に対する現在の理解に何らかの不備があることになります」と述べています。

暗黒物質が何であるかはわかっていません。わかっていることは、宇宙で観測される重力の影響が、すべての目に見える通常物質を合計したものだけでは足りないということです。例えば、銀河の回転運動も通常物質だけでは説明できません。

また、重力が光の進路を捻じ曲げることも知られています。暗黒物質地図を作る際にも、この重力レンズ効果が利用されています。すべての通常物質の重力レンズ効果を差し引くことで、暗黒物質を間接的にあぶり出すことができるのです。

重力レンズ効果に基づいて作成された、暗黒物質3Dマップのイメージ画像 / Credit: HSC project/UTokyo

この方法は暗黒物質を見つける一般的な方法で、日影助教授のチームも同じ方法を使っています。使用したのは、8.2mあるすばる望遠鏡の870メガピクセルのハイパー・シュプリームカム。数十億光年先の銀河を観察できる世界有数の望遠鏡です。

この距離だと光が地球に届くまでに数十億年かかるため、得られた地図には宇宙の歴史も刻まれていることになります。よって、これを調べることで暗黒物質の進化を観測することができるのです。

現在の物理学における標準模型に不備がある可能性

得られた立体地図によって、宇宙の暗黒物質のでこぼこした配置が明らかになり、それは、以前の研究で発見されたものと一致していました。しかし、その構造が進化するスピードでは違いが出ました。新しい地図によると、以前の結果よりもずっと遅く起こっているのです。

その違いは大きくありませんが、十分に目立った奇妙な違いです。しかしこの結果が何を意味しているのかは、まだ議論の段階。データの統計的変動を示しているのかもしれませんが、もし標準模型に何らかの不備があるということになれば、とてつもない発見になります。

それがはっきりするにはしばらく時間がかかるでしょう。このプロジェクトが始まったのは2014年で、現在までに使われているのは、最初の一年間に集められた11%相当のデータに過ぎません。まだ解析は終わっていないのです。すべての画像が揃うのは、2020年になる予定です。

 

暗黒物質の立体地図を作ることで、また宇宙の謎が増えたようです。研究が進んで、暗黒物質の進化のスピードが確定した場合、新たな物理法則の探求が始まることになるでしょう。標準模型の不備にこそ、暗黒物質の正体が隠されているのかもしれません。

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reference: Science Alert / written by SENPAI