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映画『天気の子』から最近の異常気象を考えてみる【ネタバレなし】

©2019『天気の子』製作委員会

Point

■気象は世界全体を包む大気の循環が起こす現象であり、異常気象とは、過去30年の統計データから極端にずれた状態を指してる

■最近、連日の様に耳にする異常気象の話題は、過去30年間から比較して明らかに地球の気候が変動を始めていることを示している

■局所的な空模様の変動は、地球全体の天気をおかしくしてしまう可能性がある

新海誠監督の最新作『天気の子』は、天気をテーマにした作品であり、また異常気象についても色々と考えさせられる作品です。

作中に登場する極端な天気(降り止まない雨や、冠水した道路)は、もはや私達にとって、創作の世界だけの光景ではなくなりつつあります。

普段私達にとって天気とは、日常の中で話題にしたり、ふと空を見上げて考えるだけの局所的な空模様でしかありません。しかし、実際天気とは地球を包む大気の巨大な循環現象です。

最近良く耳にする異常気象ですが、これは何に対して異常なのかというと、過去30年間の気象データ平均と比較して極端にズレているということを意味しています。

天気予報や、私達が季節的な感覚で理解している天気は、過去のデータの蓄積から成り立っています。

異常気象とか、変な天気が増えた、天気予報が全然当たらない、という状況は、地球の大気全体の循環に異常が現れ始め、今までとは異なる動きを始めている証なのです。

全球異常気象監視速報(2019/6/26~2019/7/2) Credit:気象庁

上の図は、気象庁が公開している今年7月初めの世界で起きている異常気象マップです。

九州南部を未曾有の豪雨が襲い、ヨーロッパを熱波が包む…かと思えば、先週は北欧で異常な低温が続き、東日本でも7月の日照時間が異常に短く低温や、長引く梅雨に悩まされました。

「連日報道される世界各地の異常気象」、「身近で目立つ変な天気」など、同時多発的に異常な天気が地球全体で起きるのは、たまたまなわけではありません。

普段は自分の住む地域の天気以外はあまり気にすることはありませんが、広く世界を見渡せば、天気がおかしいのは日本に限ったことではありません。これは世界全体の大気の循環に異常が起きているのです。

気温の平均値に閾値を設けた帯からはみ出た値が異常気象になる Credit:環境省,IPCC第三次評価報告書

なんで異常が起きるのか?

地球温暖化を話題にしたときよく聞くのが、「暑くなってるとはいっても、寒い日も増えてない?」というような意見です。

確かに今年の7月は、日照時間が少なく例年より気温の低い日が増えていました。

これは名前に問題があるといえなくもないですが、地球温暖化は何も単純に暑い日が増えるということを問題にしているわけではないのです。

気温が局所的に変化することで、地球全体の大気の循環に変化が起きるということを問題にしているのです。

日本では毎年の様に豪雨被害が報告されるようになりました。関東でも極端に強い雨が長々と降り続き、今まで冠水したこともなかった道が水に沈む、なんてことも起こっています。

新海誠監督が映画の中で描いた「雨の日が多い夏の風景」も、昨今の天気の変動から感じ取ったものだと言います。

作中印象的に描かえる強い雨。夏の空は晴れより雨雲の方が当たり前になるかもしれない/Credit:東宝MOVIEチャンネル ©2019「天気の子」製作委員会

雨の日が増える、極端に強い雨が長く続く、こうした状況は気温の上昇により大気中の水蒸気量が上昇したために起きている問題です。

ちなみに積乱雲が夏の風物詩になるのも、気温が高いと上空に発達した雨雲ができやすくなることから来ています。

Credit:気象庁

雲は成層圏(地上15〜10km程度)より上の高さにはできないため、あまりに大きく雲が発達すると上部が平らになって横へ広がっていきます。

これが「かなとこ雲」です。

地上からは見えない平らに広がった雲の上がどうなっているのか、そんな想像は新海誠監督にも強いインスピレーションを与えたそうです。

劇中に描かれるかなとこ雲/Credit:東宝MOVIEチャンネル ©2019「天気の子」製作委員会

劇中ではファンタジックな光景を広げるかなとこ雲ですが、これは非常に発達した雨雲でもあるため、この雲ができると地上は大雨でえらいことになります。

また、上空には夏でも寒気が入り込むことがあります。上層の冷たい大気と、地上で熱せられた大気が空でぶつかると、大気に対流が起こり雷や雹、竜巻や突風、急な大雨というような不安定な天気が発生します。

都会にゲリラ豪雨や突然の雹など不安定な天気が多くなったのは、ヒートアイランド現象により強い上表気流が発生しやすくなったためです。

Credit:気象庁

高温の日が続くと、蒸発する水分が多くなるため、弱い雨は減り、猛烈な雨が長時間降り続ける天気が増えることになります。

ヒートアイランド現象は局所的な問題に過ぎませんが、九州の極端な豪雨災害や、日本全体での日照時間の低下による低温の問題、梅雨が長引くといった状況は、こうした気温上昇による水分の蒸発がもっと広い範囲で恒常的に起き始めたことを示しているのです。

天気=大気の循環現象

重要なのは、局所的に大きな気温の変化があった場合、地球全体の大気の循環にも影響が出るという点です。

異常気象が増えている原因は、ジェット気流が蛇行して大気の流れが変わっているためと言われています。

例えば、エルニーニョ現象は、太平洋の南米沿岸から赤道上に海面温度が平年より高くなるというだけの現象です。

エルニーニョ発生時の平均海面水温平年偏差 赤い部分は平年より暑い Credit:気象庁

ところが、この現象は世界中に様々な気象問題を発生させます。

エルニーニョによる世界の影響 Credit:気候影響・利用研究会(1999)

こうなると地球温暖化によって、「夏に寒気が流れ込んで逆に寒くなる」「日照時間が減って寒くなる」といった、名称とはまるで逆の状況が発生したりもします。

また、気象は結局過去のデータと比較した情報でしかないため、異常気象が起きても、それがたまたま発生した問題なのか、長期的な変化が起きているのかまでは語ってくれません。

天気を目の前の空模様として考えていると、なかなか見えづらい問題ですが、天気は地球全体の大気循環現象です。

局所的に天気が変わっただけだったとしても、それが地球全体に影響を及ぼす大問題となる可能性もあります。

Credit:東宝MOVIEチャンネル ©2019「天気の子」製作委員会

『天気の子』では雨が降り続けるという極端な気象が描かれていましたが、便利さと引き換えに温暖化が進む現実の世界も、ひょっとすると今よりも異常な気象が続いてしまう可能性もあるのです。

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