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恐怖を感じたときに「身体が硬直する」原因が明らかに

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  • 恐怖や驚きを感じた時に身体が硬直し、震え始める反応は、体内の「セロトニン」放出が原因と判明
  • ハエを用いた実験で、セロトニンを放出した個体は他に比べて動きが急に遅くなっていた

暗闇の中の物音や突然の地震など、人は潜在的な恐怖に直面すると身体が硬直し、小刻みに震え始めます。

誰でも一度は経験したことのあるこの驚愕反応は、人のみならず、虫や魚を含むほとんどの生き物に見られます。それにもかかわらず、驚愕反応の科学的な原因はこれまで不明でした。

しかしこの度、アメリカ・コロンビア大学の研究により、驚愕反応を引き起こす原因は、体内の「セロトニン」という化学物質であることが判明しました。

また、一時的な身体硬直には、れっきとした重要性があるようなのです。

研究の詳細は、11月27日付けで「Current Biology」に掲載されています。

驚愕反応の原因は「セロトニン」

人や動物は、潜在的な恐怖や脅威にさらされると、最初に身体が硬直して震え始め、その後、安全な場所に移動します。研究チームは、驚愕反応を引き起こす原因を特定するため、ハエを用いた実験を行いました。

まず、複数のショウジョウバエを「FlyWalker」という特殊な装置の中に入れて、歩行の変化を観察します。FlyWalkerは、研究チームが独自に開発しており、特殊なガラスの中にいる虫の足取りをトラッキングする装置です。

ショウジョウバエ/Credit:upnewsinfo

その後、ハエに驚愕反応を引き起こす2つのシナリオを実験しました。

1つは「ブラックアウト現象」で、容器内の電灯を急に落とし、真っ暗闇の状態を作ります。もう1つは「アースクエイク現象」で、ミニチュアの砂地を用意し、その上にいるハエに地震に似た振動を与えます。

その結果、どちらの場合でもハエは一時硬直を引き起こし、体内における「セロトニン」の急激な上昇が見られたのです。セロトニンを放出したハエは、動きが急に遅くなるか、完全にストップします。

下は、通常時のハエとセロトニンを放出したハエのスピードを比較した映像です。(下がセロトニンを放出している個体)

研究チームは、他にも温度変化や空腹状態、逆さまに歩いている時など、ハエがセロトニンを放出するシチュエーションを特定していますが、上記2つのシナリオの場合に最も高いセロトニン放出が見られています。

驚愕反応は恐怖への準備?

分析の結果、セロトニン放出は、ハエの「腹側神経索(VNC=ventral nerve cord)」で起こっていました。VNCは、脊椎動物の脊髄に当たる場所です。

研究主任のリチャード・マン教授は「セロトニンの放出が驚愕反応の引き金となっていることは明らか」と話します。

「ハエにおいては、セロトニンが身体硬直を起こし、反対にVNCの活動を鎮めると動きが加速しました。セロトニンは、人体にも存在する化学物質であり、これが一連の身体反応の原因である可能性はきわめて高い」と説明しています。

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特に人において、セロトニンは、感情や気分の調節に最も密接に関係している物質です。

マン教授は「セロトニン由来の一時硬直は重要性がある」と指摘。「おそらくこの間に、全神経システムを急激な環境変化についての情報収集に費やし、次に取るべき対処行動の準備をしている」と続けています。

ハエに関して興味深いのは、ブラックアウト後の動きは緩やかに再開したのに対し、アースクエイク後は急加速して移動したことです。これは停電時と地震時の人の反応に類似しています。

ハエも停電と地震では、体感している潜在的恐怖が異なるのでしょう。チームは今後、同じ結果が人を含む他の動物にも見られるか研究を進める予定です。

reference: sciencedailyupnewsinfo / written by くらのすけ