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宇宙の錬金術! 金やプラチナなど重い元素が生まれた謎に迫る

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Point
■星内部の核融合で生成可能な元素は鉄までであり、鉄より重い元素を作ることはできない

■鉄より重い元素、金、プラチナ、ウラン、プルトニウムなどは、星の核融合とは別の原因で生まれている

■これまで重元素の生成は2つ中性子星の合体で起きると考えられていたが、新たに発表されたシミュレーション結果では、特殊な条件の星崩壊時でも同じ現象が起きる可能性が示されている

宇宙に存在する元素は、【水素:ヘリウム:その他の元素】の比率が【1000:1:1】になると言われている。

そう、我々の生きる宇宙はほとんどが水素とヘリウムで満たされていて、それ以外の重い元素はほとんど存在していないのだ。

これはビッグバンで生まれた素粒子から自然に作られたのが、極めて軽い元素だけだったためだ。それ以外の重い元素は星の核融合で後から作られたのだ。

しかし、恒星の中で起こる核融合では、鉄より重い元素を作り出すことができない。金やプラチナなど重い元素は、また別の方法によって生まれている。

大昔から人類が夢見てきた金を錬成する宇宙の秘密だが、今回新たに発表された研究では、その方法がシミュレーションによって明らかにされている。

それによると、金を始めとした重元素は、特定の条件下の星崩壊(コラプサー)で生じる降着円盤というガスの渦で生まれる可能性が高いという。

この研究は、コロンビア大学の研究者より発表され、Natureに掲載されている。

Collapsars as a major source of r-process elements
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1136-0

もっとも安定した元素 鉄(Fe)

Iron electrolytic and 1cm3 cube

莫大なエネルギーを生み出す反応について、多くの人が核融合反応と核分裂反応を耳にしているだろう。

核融合とは、水素を始めとした軽い元素が融合して重い元素を作る際にエネルギーを生み出す現象だ。逆に核分裂反応とは、ウランのような重い不安定な元素が崩壊してより軽い元素へ変わる際にエネルギーを生み出す現象を指す。

これを聞いて、「あれ? 融合しても崩壊してもエネルギーが生まれるのはおかしくない?」と思ったことはないだろうか。実はこの2つの反応は、同時に停止する分岐点がある。それが鉄だ。

鉄はこの世でもっとも安定した元素で、核分裂反応も核融合反応も鉄を作り出したところで停止してしまうのだ。これ以降はどちらの反応も逆にエネルギーを消費してしまうので継続できなくなってしまう。

星は核融合のエネルギーで輝いている。核融合で鉄以上の元素が作れないとなると、これより重い元素の生成にはもっと別の方法に頼ることになる。

それが中性子を大量に取り込む「r過程」という現象だ。

重い元素を生み出すr過程

Credit:©NAOJ

名前からしていかにもとっつきにくそうな現象だが、要は中性子で起こる核融合のようなものだ。

通常の核融合は、軽い原子の陽子が結合している。そのため電気的な反発が大きい。通常はこの反発を核融合で生まれるエネルギーが抑え込んでいるが、鉄以降の核融合では反発を抑え込めず止まってしまう。

しかし、電気的に中性な中性子は大量に存在すればガンガン取り込んで重い元素を作り出せる。これが一般的に言われているr過程という現象だ。

だが、r過程がどういう状況で起こっているのか、どういう天体なら起こせるのか、という部分については謎が多くはっきりしていない。

重元素を生み出す有力候補の超新星爆発

Credit:pixabay

超新星爆発とは、恒星が年をとり核融合に必要な燃料を使い尽くして自重に耐えきれずに潰れて起こる爆発だ。星の死と引き換えに起きるメガンテみたいな爆発なのだが、超新星という単語のせいで、星が生まれる時の爆発だと勘違いしている人もいるかもしれない。

この分かりづらい呼び名は、実は過去の観測の勘違いでついてしまったものだ。

生まれたての星は明るく輝くため新星と呼ばれていたが、あるときそれより明るく輝く天体が発見された。それがいわゆる死を迎えて爆発した天体だったのだが、新星より明るので、超新星と呼ばれてしまったのだ。

重元素を生み出すr過程については、この超新星爆発が有力候補だった。この星の爆発による莫大なエネルギーと中性子が重い元素を生み出し、同時に宇宙へ重元素をバラまくと考えられたのだ。

しかし、後の観測で超新星の残骸にあまり重元素が含まれていないことが発見された。こうなると、超新星が重元素を生み出すという説は捨てなければならない。

そこで有力視されているのが、中性子星同士の合体だ。

太陽のような恒星は死んだ後、質量によって3つの運命を選ぶことになる。

太陽と同程度の質量の星だと死んだ後、余熱で輝く白色矮星になる。太陽より重いと中性子星という中性子の塊の星になる。もっと重たいとブラックホールになる。

中性子の塊である中性子星同士がぶつかった場合に、猛烈なr過程が発生し、大量に重い元素が作られるというのが現在の有力な考え方というわけだ。

しかし、この方法でも観測と一致しない問題が存在する。それが極端に金属の欠乏した低金属星の存在だ。

原初の宇宙の様子を伝える低金属星

Credit:pixabay

低金属星はその名の通り、金属が欠乏した星だ。こうした星は、元素合成があまり進んでいない初期の宇宙で誕生したと考えられている。宇宙では後期高齢者の星だ。

低金属星の中には一回の超新星の影響だけをそのまま受けて誕生しているものもあると考えられているくらいだ。

中性子星同士の衝突などは、かなり時代が進んでいないと起こらないと考えられるので、こうした初期宇宙に生まれた低金属星では当然重元素は見つからないものと考えられる

ところが、低金属星の中には鉄などがほとんどないのに、重元素の方が大量に見つかるというパターンが存在している

こうなってくると、r過程は一体どこで起こっているのか、さっぱりわけがわからなくなってしまう。

宇宙の錬金釜

©SQUARE ENIX

結局r過程はどこでおきているのだろうか? その疑問に一筋の光をもたらしたのが今回の研究だ。

報告によると、r過程は星崩壊時に発生した降着円盤で起きているのではないかという。

降着円盤とは、星が崩壊して出来たブラックホールや中性子星、白色矮星の周りにガスや塵などが巻き込まれて形成される平べったい天体だ。

降着円盤は、これ自体が生成の条件や性質について研究の対象にされるくらい謎の多い天体なのだが、星崩壊時の降着円盤によって宇宙に観測される重元素を十分説明可能なシミュレーションができたというのだ。

どうやらこれが、長い年月人類が追い求めた金を錬成する真実のようだ。

この現象は非常に稀なもので、中性子星の合体よりも発生頻度は低いようだ。しかし、一度に生成される元素の量は中性子星合体よりずっと多く、その生成量で頻度の低さをカバーできるという。

研究者たちは、宇宙の重元素の80%以上がこの現象により作られた可能性があると考えている。

難解な用語が多すぎてわけがわからなくなってくるが、こんな面倒で未知の現象が起きないと金やプラチナなどの重い元素が生まれないとわかると、とりあえずそれが高いことには納得できそうだ。

 

もし恋人に高い金のアクセサリーを買うときがあったら、ここで聞いた話をすっごい早口で説明して金の魅力を教えてあげよう。

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