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天の川銀河に「存在しないはずの星」が発見される

Credit:phys.org
Point
■天の川銀河のハローに「存在しないはずの星」が発見される
■その星には、鉄や炭素といった重い元素がほとんどなく、代わりに大量のリチウムが含まれていた
■リチウムは宇宙最初期に誕生した元素の1つであり、この星は宇宙初期のリチウムをそのまま含む可能性がある

その正体はいかに?

スペインのカナリア天体物理研究所(IAC)によると、地球から9450光年離れたハロー(天の川銀河を球状に取り巻く部分)に、炭素や鉄元素をほぼ含まない恒星が発見されたそうです。

その星は非常に古く小さな星で、「J0023+0307」と名前がつけられました。しかし天文学者たちは、口をそろえて「存在するはずがない」と戸惑っているようです。果たしてどういうことなのでしょうか?

研究の詳細は、4月2日付けで「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されています。

Back to the Lithium Plateau with the [Fe/H] < −6 Star J0023+0307
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab1076

鉄や炭素がなくて「リチウム」が豊富

発見された恒星には、いくつかの奇妙な特徴があります。まず、この星はこれまでに見つかっている恒星の中で最も金属量が少ないということです。「J0023+0307」の金属量は、太陽に含まれる金属量の1000分の1以下なんだそう。ちなみに太陽の9割は水素とヘリウムで、金属量は鉄と炭素を合わせても全体の0.5%にも達しません。

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その代わりこの恒星は、専門家も驚くほど大量のリチウムを含んでいることがわかっています。「鉄や炭素がほぼなくて、リチウムが満載」これが大きな特徴です。

それからこの星が誕生したのは、ビッグバンのおよそ3億年ほど後のことだとわかっています。その時期は宇宙で初めて形成された、いわゆる「第一世代」の恒星たちが寿命を終え始めたちょうど後のこと。つまり「J0023+0307」は「第二世代」に属するというわけですね。

星の「世代」って?

この「第一世代」と「第二世代」について少し説明しておきましょう。

138億年前に宇宙が誕生したとき、ビッグバンに引き続いて生じたのが中性子や陽子などが集まった原始的な海です。その間に元素合成が生じて、水素やヘリウム、そして少量ながらもリチウムがつくられていきます。つまり、リチウムは宇宙最初期につくられた3元素の内の1つというわけです。

これら比較的軽い元素が寄り集まって初めて恒星が出来上がります。これが「第一世代」に当たる星たちですね。そして鉄や炭素などもっと重い元素は、この第一世代となる恒星の内部で誕生しました。

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第一世代が寿命を終えると、内側にあった金属性の重い元素が宇宙空間に飛び出していって、新しく形成される星たちの中に取り込まれるんです。これが「第二世代」の星です。ということは、第二世代以降の星には、必然的に鉄や炭素が含まれるということでしょう。

すると「J0023+0307」の奇妙さがわかりますね。つまりこの星は「第一世代の特徴を持っていながら、第二世代の時代に生まれている」わけなんです。

宇宙最初期の「リチウム」かも

この星についてケンブリッジ大学の天文学者であるデイヴィッド・アグアド氏は「宇宙初期に誕生したリチウムをそのまま含んでいるかもしれない」と話します。

というのもリチウムは、星が水素融合反応を起こす250万ケルビン(熱力学温度)に達すると崩壊して消えていきます。そして同時に「J0023+0307」のように、金属量に乏しい恒星ー「EMPs(extremely metal-poor stars)」と呼ばれるーがそのような高い温度に達することはないんだそう。

それからアグアド氏は「大きな恒星になると内側より冷えた大気表面にリチウムを含むことができますが、小さな星がリチウムを含むことは考えられない」とも説明しています。

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つまり小さくて、年齢も古く、金属量の乏しい「J0023+0307」が含むリチウムは、宇宙初期につくられたリチウムそのままのものである可能性が非常に高いというわけなんです。

 

とはいえ、炭素も微量ながら含まれているので第一世代でないことは確か。第二世代とのハーフかも?謎は深まるばかりです。この星を調べることで、宇宙初期の成り立ちの秘密に触れられるかもしれませんね。

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reference: sciencealertphys.org / written & text by くらのすけ