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大豆で作った肉が300億円! 代替肉最前線2/グルメの錬金術師

肉を作り、富を積み上げる

株式会社ベジタリアンブッチャージャパンの代表取締役・村谷幸彦氏と同氏が経営するbutamajin池袋店で会った。butamajinは豚肉専門の焼き肉店で本店は富山にある。その立ち上げの際にベジタリアンブッチャー社のことを知ったのだという。

「野菜ソムリエの人が厨房に入ることになり、店で野菜中心のメニューも用意することになったんですね。その人がベジタリアンだったんです。何をタンパク源にしているんだろうと思ったら、テンペだったんです」

テンペは大豆からできたインドネシアの食材で、納豆を固めたような不思議な食べ物だ。店で扱おうとネットで取り寄せた。

「食べてみたんですが、私自身の口には合わなくて。これで肉の代用品として成立しているのか? と思ったわけです」

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株式会社ベジタリアンブッチャージャパン 代表取締役・村谷幸彦氏。

 

他にタンパク源として使える食材はないのか? 調べていくうちに、代替肉のことを知る。

「何社か取引を持ち掛けて、その中で一番日本のマーケットに興味を示してくれたのがオランダのベジタリアンブッチャーだったんです。取り寄せてみたら、面白かった。肉の代替品って絶対流行ると思いましたね」

インポッシブルミートもビヨンドミートも商品が出始めた頃で、今のような熱狂が起きる前のことである。

ベジタリアンブッチャーはオランダ発。アメリカのインポッシブルミートやビヨンドミートとは違うのか?

「基本的には同じです。ただアメリカのものはミンチ状のタンパクから作っていますが、ベジタリアンブッチャーは最初から型に入れて作る成形肉という違いはあります」

ベジタリアンブッチャーは家庭での使いやすさを重視しているそうで、使いやすいさから成形肉。

「それにインポッシブルミートやビヨンドミートのように血まで再現する必要があるのか」

インポッシブルミートとビヨンドミートは染色剤を入れて、血の色も再現しているのだ。たしかにやり過ぎの感はある。

同社は2か月でおよそ4トン分の製品をオランダから輸入している(ちなみに食肉の場合は1回で10トン単位だから桁が違う)。

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業務用パッケージ。これを月あたり900箱見当で輸入している。

 

「三井食品様や三菱食品様といった商社経由で卸しています。ビーガン対応が4種類にベジタリアン対応が4種類」

現在、製品は8種類。ビーガンとベジタリアンは違う?

「ビーガンはまったく動物性の食べ物を食べない。ベジタリアン対応の製品には卵や牛乳が使われています」

製品にはハンバーガーパテ以外にチキンナゲットとソーセージ、シーチキン、ミンチ、ミートボールがある。

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ハンバーガー用のパテ。見かけよりずっと肉々しい食感だ。

 

「業務用としてハンバーガー屋さんやカレー屋さんのチェーン店と話をしています」

当然、butamajin池袋店でもベジタリアンブッチャーの製品を提供している。

「お客さんは、お肉じゃないんだとビックリしていますね。焼肉屋さんにベジタリアンの方が来るという今までにないシチュエーションも生まれています」

ベジタブルブッチャーの製品をひと通り食べてみた。どれもおいしい。ソーセージはスモークフレーバーがきちんとし、肉の酸味まで再現されている。

「ホットドッグとしておいしい味ですよね。ピクルスも挟むでしょうから、その酸味と合う」

日本人好みではないが、ヨーロッパのソーセージを知っていれば、あの味だとわかる。おいしいのだ。

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ホットドック用のソーセージも大豆由来の代替肉だ。

 

驚いたのがシーチキン。魚ではないから当たり前だが、臭みがない。シーチキンの臭いを気にしたこともなかったし、むしろおいしさと思っていたが、大豆由来のシーチキンは魚の臭いではない。

「香料はカニとか貝のフレーバーを使っています。シーチキンというよりは海鮮の味ですね」

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シーチキンまで代替肉! これは非常においしいので、カニカマのようにここから広がるかもしれない。

 

台湾素食でも旧来の大豆ミートでも、なぜか鶏のから揚げは非常においしい。ベジタリアンブッチャーも、チキンナゲットは鶏肉よりもおいしいぐらいだ。なぜだろうと思ったが、これも臭いだ。肉の臭いがないため、フレッシュに感じる。

代替肉には肉の代用というイメージが強いが、これはこれとして、新しい食の選択肢と考える方が良いのではないか? 肉の代わりではなく、新しい種類の肉が増えたと捉えた方が、将来性もある気がする。

「日本は絶対にこの市場を獲れないんですよ。もし獲れるとしても、ずっと先になります。一過性のブームとして市場を見ている限り、海外のメーカーから大きく出遅れることになるのは間違いない」

肉の代わりでもなく、健康でもない。村谷氏はファッションとして食べる文化を想像している。

「原宿なんかで女の子たちがハンバーガーを食べながら歩いている、そのハンバーガーがベジタリアンブッチャーみたいな感じですね。アパレルと組んだり、ファッション誌と組んだり、文化として広げていきたい」

 

日本は海外発の文化を変えていくことが得意だ。代替肉が日本にローカライズされていくのはこれからだろう。ジャパンオリジナルの代替肉文化がどのような形で世界に広がっていくのか、興味深い。