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培養されたミニ脳細胞から脳波を検出

The tiny brains at 10 months./Credit:Muotri Lab/UCTV

Point

■実験室で培養された脳組織から、電気活動が検出された

■これは人間の脳波に似たもので、特に早産児の脳活動によく似たパターンを示している

■この成果は、複雑な人間の脳の発達を理解するための第一歩となるが、意識の発生など倫理的な問題への警戒感を示す科学者もいる

目にナノ粒子を注入して暗視能力を手に入れる実験に成功

実験室培養された小さな脳組織から、脳波と見られる自発的な電気活動が検出されました。

これは豆粒大の非常に小さな「培養脳」ですが、複雑な人間の大脳皮質の発達について理解するために重要な成果になると考えられています。

この研究は、米カルフォルニア大学サンディエゴ校の生物学研究者を筆頭とした研究チームにより2018年11月に発表されましたが、今回査読審査を通過して権威ある医学誌「Cell Stem Cell」へ掲載され、正式な研究成果として広く認められたものとなります。

Complex Oscillatory Waves Emerging from Cortical Organoids Model Early Human Brain Network Development
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1934590919303376?via%3Dihub

「ミニ脳細胞」の培養実験

実験室で培養されたこの小さな脳細胞は、成体幹細胞から作られたオルカノイドです。

オルカノイドとは、研究目的で培養されたミニチュアの器官のことで、薬物反応や有害な条件下での細胞発生などを調べるためのものです。

成体幹細胞は、よく聞くiPS細胞などに比べると色々な種類の細胞へ分化する能力が限定されたタイプの細胞ですが、臨床実験などではよく用いられているものです。

試験管培養のように、生体器官を外部で作る実験を「in vitro」と呼びますが、こうしたタイプの実験培養で、脳波を確認するというのは前例のない成果です。

「脳オルガノイド」は研究されるようになって10年近く経ちますが、きちんと機能する神経ネットワークが発達させたということ自体が、初めてのケースになります。

これはかなり偉大な成果を上げた研究なのです。

こうした成果を上げることができた要因は、1つに培地製法を含む幹細胞培養過程の技術向上が挙げられます。もう一つの要因は、子宮で赤ちゃんが発達するのと同じように、神経細胞の発達のために十分な時間を用いて培養を行ったことです。

発達段階の赤ちゃんの脳

検出された脳波はまばらで無秩序なものでしたが、みな同じ周波数で発生しており、未熟な人の脳に見られるパターンに酷似していたとのこと。

そして成長させていくにつれ、複数の周波数で脳波が発生するようになり、より定期的に信号が見られるようになりました。これは脳オルガノイドの神経細胞ネットワークが発達し、きちんと成長していることを示唆するものです。

研究では早産児39人の脳波活動を記録し、今回の脳オルガノイドの発達期間の様子と比較を行いました。その結果、脳の成長軌跡に同様のパターンを見ることができたといいます。これは、てんかんや自閉症などの神経学的な疾患をモデル化する際に重要な知見をもたらすでしょう。またこの研究を発展させていくことで、これらの症状の治療法の発見につながることが期待されています。

10ヶ月で止まる脳の発達の謎

ただ、脳オルガノイドの発達は約9から10ヶ月ほどで止まってしまうといいます。

この原因は現在明らかとなっていません。しかし、考えられる原因は、「血管などの機能が無いために停止」か、「これ以上の発達には感覚的な刺激の入力が必要となる」ことが考えられています。研究者は今後、この両面から検証を行っていく予定です。

こうした研究では、新生児がどういった段階で意識を獲得しているか、またそもそも意識をどう定義するのかといった問題が、科学者の間では議論となっています。

しかし意識の発生まで辿ると、今度は倫理的な問題が浮上してきます。こうした脳の研究はますます難しいものになるでしょう。

 

培養した脳でも脳波が見られるとなると、いずれ培養された脳の意識もありえない話ではないかもしれません。ちょっとSF的な恐怖を感じてしまいますね。

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reference:sciencealert,AFP/ written by KAIN