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国際化の弊害?「バイリンガルの認知症」が社会問題になりつつある

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point
  • 国際化によって、母国語と異なる言語を使う移民が多くの国で増えている
  • こうしたバイリンガルの人が認知症にかかった場合、母国語以外が話せなくなるという症状が現れることがある
  • 英国など複数言語を操る住人の多い地域では、こうした認知症患者の介護問題が表面化している

母国語以外に複数の言語を扱うことのできるバイリンガルやマルチリンガル。

母国とは異なる国で暮らす人は、国際化の進む21世紀では珍しくありません。しかし、こうした国際化社会が、次第に新しい問題を生みつつあるようです。

外国からの移住者は当然母国語とは異なる言語を使って生活することになりますが、そんなバイリンガルの人達が認知症になった場合、後から覚えた言語を忘れて母国語しか喋れなくなり、介護に大きな負担を生み出す場合があるのです。

英国では、スコットランド、ウェールズなど英語以外を使う地域があり、こうした問題への意識が高まっています。スコットランドのグラスゴーでは、こうしたバイリンガルの認知症問題に焦点を当てたワークショップが医療従事者などを中心として開催されています。

The Psychology of Existential Risk: Moral Judgments about Human Extinction
https://ewds2.strath.ac.uk/Default.aspx?tabid=1306&articleType=ArticleView&articl

国際化した社会の認知症

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認知症の症状の多くは、幼年期の記憶が非常に鮮明に現れるようになる一方、現在の記憶や感覚が薄れていく傾向にあります。

こうしたことから、多言語を操る人が認知症になった場合、後から覚えた第二言語を忘れて、子供の頃話していた言語でしゃべるようになるのです。こうした問題は、エディンバラ大学などの研究論文でも報告されています。

英国はスコットランドやウェールズなどに英語以外の言語を使う地域があります。ゲール語やウェールズ語で育った妻が認知症で英語を忘れてしまい、英語しか使えない夫と意思疎通できなくなるといった問題も発生しているようです。

この問題は、英国に限らず海外移住者の多い地域でも社会問題となりつつあります。親が母国語を捨てて異国へ移住した場合、子供たちの世代は母国語を知らないために、認知症発症後言葉が通じなくなり介護に大きな負担を強られるのです。

現代は移民や外国人労働者を受け入れる体制を整える国が多くなっています。しかし国際化の進んだ社会では、移住者が高齢化した場合、言葉の通じない認知症患者が増えることが予想されるため、こうした人達をどうのようにサポートしていくかが課題になっていくでしょう。

バイリンガルは認知症になりにくい

ただ、2カ国語以上を操る人たちに対して、ネガティブな情報ばかりが存在するわけではありません。

多くの研究において、バイリンガルの人たちは認知症の発症が単一言語しか扱わない人に比べて4〜5年遅い傾向にあることが報告されています。また、認知能力の加齢による低下の程度が軽度であり、脳卒中後の脳機能の回復も良好であることが示唆されています。

そのため、バイリンガル、マルチリンガルの人たちの方が老後に発生する障害や問題は少ない可能性もあります。

しかし、言語技能の喪失は認知症の一般的な影響の1つであり、その結果生じる課題は、バイリンガル認知症患者の介護においては特に複雑な問題になる可能性が高いと考えられます。

AI技術の進歩により翻訳ツールが現在は高度な進化を続けていますが、研究者たちは政策レベルで早期にこうした問題に取り組んでいく重要性を訴えています。

ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』/Credit:Google Art Project

旧約聖書には、人間が団結して天に届くバベルの塔を建設していることを恐れた神が、意思疎通を図れないように雷を落として人々の言語を分けたという記述があります。国際化の進んだ社会は将来、雷を落とされたバベルの塔のようになる危険性があるかもしれません。

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reference:theconversation/ written by KAIN