今週、C/2018 Y1 Iwamoto、通称「岩本彗星」が天球を通過します。この彗星は氷と鉱石でできた緑の神秘的な天体で、6-7等級の明るさのため、天体望遠鏡や双眼鏡で観察できます。
2019年初めての双眼鏡級の彗星であり、このような彗星を観察できるのは毎年2-3個程度です。すごいレア…。
しかもこの彗星が見つかったのはほんの2ヶ月前で、徳島のアマチュア天文家・岩本雅之氏によって発見されました。この氷の天体は太陽系を回る楕円軌道を1371年周期で回っています。
岩本彗星が最も近づくのは4500万kmで、月との距離の118倍です。その独特の緑色の輝きから、観測機材さえあれば見つけることができるでしょう。
ではこの彗星、なぜ明るく輝くのでしょうか。それは岩本彗星のような典型的な彗星が、太陽からの熱と放射線にさらされるからです。熱と放射線が表面の氷を溶かしてガスやチリを放出させりことで、ぼんやりした彗星のコマを作りますが、コマと宇宙空間の紫外線がぶつかることで目に見えるようになるのです。
昨年、この効果が顕著だったひとつの彗星があり、インクレディブル・ハルクと呼ばれていました。岩本彗星はそこまで怒り狂ったりはしませんが、見ることは可能です。
岩本彗星の天球上の位置は、”In-The-Sky.org“を参照することで見つけることができます。日にちを指定すると、彗星の位置を正確に示してくれます。
ですが、望遠鏡とカメラの準備は急いだほうがいいようです。彗星は太陽系の周りを加速しており、時速23万8千kmのスピードで進んでいます。いつまでも見れるわけではないのです。
彗星はちょうど太陽を通過したところであり、地球上からはしし座、蟹座、双子座を通過するのが見えるでしょう。その後は、太陽系の外縁へと戻っていき、私達の視界から消えることになります。
専門的にはエクストリームトランスネプチュニアン天体として知られていて、冥王星を超えた天体の軌道にある集団のひとつです。
私たちが岩本彗星を観察できる機会は、これが最後となるでしょう。再び太陽系の内側に戻ってくるのは、3390年だからです。