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冷暖房フリー? 保温も断熱もできる「透明な木材」が開発される

Credit:pixabay
Point
■スウェーデン王立工科大学の研究チームにより、半透明の木材が開発された
■この木材は熱を吸収して蓄え、さらに放出することもできるので、冷暖房のコスト消費を削減できる優れもの
■「リグ二ン」という木の中の光吸収成分を除去することで透明になり、さらに保熱効果のある「ポリエチレングリコール」を加えた

冬場は暖房、夏はクーラー。電気代が高くて困る…そんなお悩みを解決してくれる、スーパー木材が開発されました。

スウェーデン王立工科大学の研究チームによって発明されたのは、なんと半透明の木材。しかもその木材にはポリエチレングリコール(PEG)が使われており、光を通すだけでなく熱を吸収したり放出したりできる優れものなんだとか。

電気代なしで部屋を快適な温度に保てる日が近づいていますね〜。

透けて見える!透明木材の作り方

研究チームによる透明木材の開発は2016年から進められていました。この研究は、世界中で年々上昇し続けているエネルギーの消費問題を解決するべくスタートしたものです。

透明な木材を作るプロセスとして、まずバルサという木材の細胞壁からリグニンと呼ばれる成分を取り除きます。リグニンは光を吸収する働きがあるので、これを取り除くことで透明になるというわけです。ただまったくの透明ではなく、プライバシーを守れる程度にくもらせてあります。

Credit:KTH Royal Institute of Technology

さらにリグニン除去後の木材を、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol=PEG)の液体に浸しています。研究チームのセリーヌ・モンタナリ氏は「PEGは保熱・断熱効果に優れていて、木材とも親和性がある」からだと説明。

ですが、このPEGの働きはもっと複雑なものなんです。

PEGの驚くべき保温・断熱効果

PEGは個体から液体へと変化する「相変化素材」で、華氏80度(摂氏およそ27度)で溶ける性質を持っています。そしてその溶ける過程で熱を蓄えることができるのです。

そのおかげで、日光のよく当たる暑い日には熱を吸収して室内を涼しく保ち、反対に夜になると冷えて固まり蓄えていた熱を室内に放出するのです。また溶解温度はPEGの種類を変えることによって調節可能で、気候に合った木材を作れるようです。

蓄熱された熱が放出されると透明な木材が右のように曇る /Credit:eurekalert

「溶けるなら木材から漏れ出てベトベトになるのでは?」と心配した方もご安心を。PEGはリグ二ンを除去した木材の細胞の中に入れられカプセル化されるので、相変化の際に外部に漏れ出すことはありません。また湿気から木材を守るためにアクリル樹脂も使用されています。

透明木材は生物分解性であるため、微生物など自然のもので簡単に分解することが可能。現在の建築に多用されるガラスやコンクリート、プラスチック材よりも断然環境に優しいのです。一部アクリル樹脂が生物分解性ではないのですが、この先の研究でバイオポリマーに変えることも検討されています。

この透明木材、エコ・エネルギー削減・保温断熱効果、そして耐久性も一級品とのことで、まさにスーパー木材の名にふさわしいですね。これからの課題は工業的に大量生産可能な土台を築くことだそうで、5年以内の実用化が目指されています。

 

日本でこのオール木造の家が実用化されるようになったら、冬場の乾燥のための「火の用心」対策も同時に考えなくてはいけませんね。

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reference: futurismeurekalert / written & text by くらのすけ