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今火星でもっともホットな場所! 探査機Mars2020の着陸地「ジェゼロ・クレーター」の謎

Credit:NASA

Point
■2020年打ち上げ予定の火星探査機「Mars2020」は、生命の痕跡を探ることが大きな目標

■着陸予定地の「ジェゼロ・クレーター」には緑に光る不思議な地形の「ニリ地溝帯」があるが、この地は火山の水蒸気爆発により形成されたとする新しい論文が発表されている

■温暖な火山帯に大量の水が存在したことで、生命発見への期待がさらに高まる

火星には特徴的で不思議な姿をした地形が数多く存在している。

そのほとんどが軌道上から撮影された衛生写真しか情報が無いため、形成の過程については謎が多い。

2020年打ち上げ予定の火星探査機「Mars2020」の着陸地に決まった「ジェゼロ・クレーター」近くにも、そのような不思議な場所が存在している。「ニリ地溝帯(Nili Fossae)」だ。

ここは色彩を強調した衛生画像を見ると、緑に輝く不思議な姿だということがわかる。これは地球のマントルにも多く含まれるカンラン石に覆われている為だが、一体どのようにしてこの土地は生まれたのだろうか?

その研究からかつての火星の姿や、大規模な歴史イベントを浮き彫りにすることができるかもしれない。

そんな「ニリ地溝帯」の形成について、火山爆発の可能性を示す研究が発表された。もし事実ならば、「ニリ地溝帯」はかつて大量の水に存在したことになり、ここから火星生命の痕跡を発見できる可能性が非常に高まるという。

この研究は、米国ブラウン大学より発表されたもので、5月22日付けでGeology誌に掲載されている。

緑色に光る谷 「ニリ地溝帯」とは?

Fault-Horst-Graben
地溝(Graben)
まず、地溝帯という地形に馴染みがないと思われるが、これは土地の一部が沈下して出来た峡谷だ。そのため両側に地層の露出した切り立った崖を持つ。

ニリ地溝帯には、緑に光る特徴的な鉱物層が目立つが、これはカンラン石と呼ばれる鉱石の堆積物によるものだ。

玄武岩中のカンラン石(左)とペリドット(右)

カンラン石と言われるとあまり馴染みが無いかもしれないが、これは宝石として扱われた場合ペリドットと呼ばれる。こちらの名前ならどういう鉱石がイメージできる人も多いだろう。

カンラン石は地球のマントルにも多く含まれるものなので、決して珍しいものではない。しかし、地表に多く堆積している以上、そこでは地殻変動や火山活動が起こっていた可能性がある。

ニリを覆うカンラン石については、地溝帯が出来た際の地層から露出したという説や、噴出した溶岩流で運ばれて来たなどの説がある。

しかし、今回の研究者たちこの堆積層の広がる位置を分析し、もっと違った予想をしている。カンラン石の層が溶岩流によるものなら最終的に低地に溜まる状況になるはずだが、ニリのカンラン石は谷や丘の高地に長く連続した層を作っている

これは溶岩流ではなく、火山爆発の降灰による分布予想と多くが一致するというのだ。

噴火の種類

我々とって火山噴火は「噴火」の1つで括ってしまうが、実際には種類がある。「噴火」と呼ぶ場合と「爆発」と呼ぶ場合は原理が異なっているのだ。そして、どちらが起きたかによって土地の状況についてわかることも違ってくる。

単に噴火と呼ぶ場合は溶岩の流出がメインとなる。火山からの噴出物も溶岩の流れとともに地表を広がっていく。

一方爆発と呼ぶ場合、火山の内部に水蒸気が溜まり岩盤が耐えられなくなって大爆発を起こした状態となる。この場合、噴出物の多くは空へ舞い上がり、辺りへ広く降り注ぐ。

この場合重要なのが、水蒸気、つまり水の存在だ。火山爆発が起きた場合には、そこに大量の水が存在していたことを示唆している。

Credit:national geographic,藤田英輔

そして、今回の研究では、ニリのカンラン石の堆積状況から、どうやらこの地で起きた火山活動が、噴火ではなく爆発であるというのだ。

つまり、かつてのこの場所には水が満ちていたということだ。そして、暖かい火山帯に大量の水があった場合、そこには生物が繁殖していた可能性が非常に高くなる

火星初期の爆発的火山活動を理解することは、かつての火星の水の循環や、地下水の豊富さ、大気の存在を知る上でも非常に重要なことだ。

Mars2020の調査に高まる期待

NASA’s Mars 2020 rover Credit:NASA

これらの研究はどれも衛星写真の解析によってしか行うことが出来ないのが現状だ。

こうした調査方法では、明らかにできる事実にも限界がある。

結局は地表を調査してみないことには、わからないことだらけなのだ。

カンラン石についても、長く水に触れていた場合多孔質となり他とは異なる特徴を持つようになるという。しかし、これも実際地表のサンプルを採取して調べなければわからない内容だ。

NASAは2020年に新たな火星探査機「Mars2020」を打ち上げる予定だ。この探査機は、今回研究で取り上げられているカンラン石の堆積層も調査候補地となっている。

研究者たちは「地表の調査が行われれば、今回の研究の正否もすぐに明らかになるだろう」と語っている。そして、「もしこの地の形成が降灰によるものでないとしたら、それはかなり奇妙なことであり、研究が難航する可能性は高くなるが、それ以上に面白い状況だ」と話している。

僅かずつ明らかになる調査情報から、火星のかつての姿を探ることはパズルのピースを当てはめていくような作業だ。カンラン石の調査もそんなパズルのピースの1つだ。研究者たちは、そんな火星のパズルを楽しんでいるようだ。

今は散発的に我々の目に留まるだけの火星の研究報告も、やがては壮大な1つの星の歴史として描き出される日が来ることだろう。

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reference:universetoday,jaea,excite/written by KAIN