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人命の限界を遥かに超える「500年継続」の実験が開始! その第一報が報告される

Credit: Ulrich et al./ PLOS One
Point
■休眠状態の細菌がどれだけ長く生きられるかを調べるために、500年かかる実験が始まる
■最初の2年間の報告が、論文として発表される
■研究の指南書は次の世代へと受け継がれ、アップデートされていく

5年も同じ実験を続けているとすれば、それは十分に長い研究のうちに入るでしょう。しかし、5年経ってもまだ全体の1%しか進んでいないとすれば、それは長いどころか、途方もない実験です。人生の限界を遥かに超える、今生きている人はだれも最終結果を知ることができない実験の最初の結果が報告されました。

スコットランドで行われているこの実験は、歴史に残る微生物学の実験となるでしょう。500年間続ける予定のこの研究プロジェクトは、2014年に始まっており、2514年に終わる予定です。もはやSFの世界ですね。最初の2年間の研究結果を基にした最初の論文は、「PLOS ONE」で発表されました。

Experimental studies addressing the longevity of Bacillus subtilis spores – The first data from a 500-year experiment
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0208425

微生物はどれだけ長く生き延びれるのか

「なぜこんな実験を」と思うのも当然です。この奇妙なまでに長い実験の要は、とても単純な前提からなります。隔離状態の微生物が、どれだけ長く生き延びれるのかを知りたいというのです。

2014年、ドイツ、スコットランド、アメリカといった様々な国の科学者たちが、「休眠中の細菌の生存能力の低下の度合いは正確にはどれくらいなのか?」と最初に疑問を提起しました。

「長期に渡る死亡率を表現できる数学的関数はどのようなものでしょうか?あるものは急速に死んで、耐久性のある個体群が中心となって残りずっと長い時期生き残るのでしょうか?」

こういった疑問に答えるため、研究チームは休眠状態で過酷な環境を生き延びることのできる枯草菌の芽胞を数百本のガラスアンプルに閉じ込めました。

そして、持久戦を開始。この芽胞の長大な寿命を考えると、人間の寿命をはるかに上回る可能性があります。細菌とアンプルの準備に加えて、この研究室では忍耐力がないとやってられません。

「今まで計画された科学実験の中でも最長のものとなるでしょう」とチームは2014年に宣言しています。

「世紀単位で、細菌や生化学物質の生存の調査が計画されているので、現存する知識の不足を乗り越えた先まで到達するでしょう」

実験では、最初の24年間は2年おきに1セットのアンプルが開封され、芽胞の生存が確認されます。24年経った後は、確認の頻度は下がって、25年に1回となり、2514年まで続きます。

次に、研究が世界一長期間に渡ることを考えて、誤謬が生じないかをみます。

長期間実験で必要とされる努力と挑戦

最初の結果報告から明らかなのは、今回のセットで細菌は全く問題なく生存しているように見えたことです。500年の実験で維持される環境で、2年間保管しても、芽胞の生存能力に低下は見られませんでした。もちろん、この結果から長く続く実験の長期予想を立てることは早計です。

研究者によると、「生存能力に有意な違いは見られませんでしたが、小さな違いが500年もの保管期間では大きな違いへとつながるかもしれない」とのこと。保管期間が長くなると、芽胞の環境への抵抗力は大きな影響を受けるかもしれないのです。

そして細かい監視下に置かれるのは、細菌だけではありません。

果てしない長さの実験であることを考えると、タスキを未来にまでつなぐ研究者達は、厳密な方法に従うことが期待されます。特に、実験そのものを生き延びさせることは難しい問題です。

「25年おきに、長期保管のための指南書を書き写す必要があります。技術や言語の発展に従って指南書もアップデートし続ける必要があるでしょう。保存することが最も重要なので、アーカイブ品質の紙とインクが使われるべきです」

 

この途方もない実験で、細菌の芽胞の耐久力が数学的に表せるようになれば、どれだけ長い間細菌が宇宙を漂い、他の惑星へと移住する時間をもっているかも分かるようになるはずです。答えの見つかっていない本質的な疑問をこのように力技で解決することも、研究の醍醐味かもしれません。答えが出るのはずっと先ですが、時々思い出して経過を見守っていけたらいいですね。

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reference: Science Alert / written by SENPAI