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中世ヨーロッパの奇習。「蜂」に家族の重大ニュースを話して伝える習慣とは

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Point

■中世ヨーロッパでは、家族の重大ニュースを蜂に話して伝える「Telling the bees」という習慣があった

■この習慣は古代ケルト神話に端を発し、蜂が人間界と霊界をつなぐメッセンジャーとされていた

■家族の葬儀の際は蜂の巣箱に喪章のついた黒布をかぶせ、それを忘れると蜂に異変が起きたという

中世ヨーロッパでは、蜂を飼う家に伝わる不思議な伝統があった。

それは「家族の重大ニュースを蜂に話して伝える」というものだ。

一見奇妙に聞こえるが、別に彼らは心が病んでいるわけではない。

この習慣は「Telling the bees(=蜂にお知らせ)」と呼ばれるもので、当時のイングランド全域およびヨーロッパの各地に広く浸透していたのだ。

例えば、家族の死や結婚、出産など大きな出来事は必ず巣箱の蜂に伝えていたという。なんとこれを忘れてしまうと、蜂が弱って蜂蜜を作らなくなったり、巣箱から逃げ出したり、果ては死ぬこともあったそうだ。

蜂は霊界からのメッセンジャー

人間と蜂は特別な関係を築き上げてきた長い歴史がある。

特に中世ヨーロッパでは、蜂は蜂蜜や蝋を作ってくれる貴重な存在だった。蜂蜜は食料やハチミツ酒(世界でも最も古い発酵酒の一つ)として親しまれていたし、日焼けの薬や咳、消化不良などの医療薬品としても活用されてきた。

また蜂の蜜蝋から作られたキャンドルは、他のものより明るく輝き、長時間点灯を可能にしたという。

A widow and her son telling the bees of a death in the family. Painting by Charles Napier Hemy (1841–1917)/Credit:amusingplanet

そのため蜂の巣箱は修道院や領主邸の中に設置され、多大なる尊敬と愛情を持って管理されていた。よって蜂の前で喧嘩を始めるなど、無礼極まりないことだったのだ。

そしてこの「Telling the bees」の起源は、古代ケルト神話だといわれている。

神話の中で蜂は、人間界と精霊界を結びつける存在とされていた。そのため亡くなった家族に何か思いを伝えたいときは、蜂がメッセンジャーとして言葉を伝えてくれると信じられていたのだ。

The bee friend, a painting by Hans Thoma (1839–1924)/Credit:amusingplanet

この習慣にはいくつかのルールがあり、蜂に話をする役目は一家の首長に任されていた。首長は蜂の巣箱に出向くと、優しく静かにノックして、家族の不幸事や祝い事を囁くように話す。

家族が死亡した場合は、養蜂係が巣箱に喪章のついた黒布をかぶせる決まりがある。また結婚式の場合は巣箱を飾り立てて、ウェディングケーキを蜂も食べれるように巣箱の前に置いた。

ではルールを破るとどうなるのだろうか?

信じがたい話だが、こうしたルールを怠ると蜂に異変が起こってしまうという。

ヴィクトリア時代の生物学者マーガレット・ワーナー・モーリーは、自身の著書『The Honey-Makers (1899)』の中に実例を記している。

それによると、当時ノーフォークに住んでいた蜂の巣箱の持ち主が死んだとき、周りの者が喪に服する習慣を忘れてしまった。すると突然、巣箱の中の蜂が弱り始めたのだ。

それに気づいた新しい持ち主が喪章の黒布をかぶせると、たちまち蜂は元気な状態に戻ったという。

こうした習慣はその後世界各地にも広がり、遠く北アメリカにも伝わったそうだ。

人間と蜂の未来

こうして蜂と人間は平和的な関係を築いてきた。しかし今や、それが崩壊しようとしている。

人が収穫する作物や世界中の植物は、蜂が受粉の媒介者となることで育っている。しかし地球温暖化によって蜂の数は刻一刻と減少しており、そのせいで育たなくなっている植物もある。

蜂が絶滅することは人間の文明が崩壊するのと同等であると言っても過言ではない。遠い過去、遠い地域で存在した「Telling the bees」の習慣は、人間と虫の交流について大切なことを思い出させてくれるようだ。

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reference: amusingplanet / written by くらのすけ

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