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ミノムシ「覇権取ったわ」ミノムシの糸がクモよりも強いことが科学的に証明される

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Point
■天然糸で世界最強とされていたクモの糸よりも、「ミノムシ」の糸の方が強いことがわかった
■ミノムシの糸は、高度な秩序性階層構造をしており、そのことで弾性力やタフネスが高まっていた
■長繊維であるミノムシの糸を1本の長い状態で取り出す方法の開発にも成功しており、産業面での活用が期待されている

クモ「おのれミノムシ…」

農研機構と興和株式会社が、ミノムシの糸をまっすぐ連続的な糸として取り出し分析した結果、天然繊維の中では最強と言われてきたクモの糸よりも、弾性率や破断強度、タフネスといったすべての面でミノムシが上回っていると判明しました。

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さらに、長繊維として知られるミノムシの糸を1本の長い状態で採取する方法の開発にも成功しており、今後の産業面での活用も期待されています。研究の詳細は、4月1日付けで「Nature Communications」に掲載されました。

A study of the extraordinarily strong and tough silk produced by bagworms
https://www.nature.com/articles/s41467-019-09350-3

強さの秘密は糸の「秩序的な階層構造」にあり

研究に使用されたのは、オオミノガの幼虫であるミノムシ。その糸の強さの秘密を解明するべく、研究チームは糸を構成するタンパク質(シルクフィブロイン)の階層構造を詳しく調べました。

ミノムシの糸は、1次構造(アミノ酸配列)から2次構造(コンホメーション)、そして高次構造(結晶構造や凝集状態)というように、それぞれが複雑に組み合わされた階層構造をしています。

1次構造では、グリシン(Gly)とアラニン(Ala)というアミノ酸が多くを占めており、規則的な並びを繰り返していることが判明しました。どうやらこの繰り返しが、糸の力学的な強さを生み出しているようなのです。

2次構造および高次構造では、まっすぐにのびたアミノ酸の主鎖が折り畳まれてできた「βシート構造」の結晶を形づくっていました。さらに、図からもわかるように、結晶していない非晶部分もあり、この結晶と非晶が周期的に繰り返されています。

この繰り返しを「秩序性階層構造」と言いますが、ミノムシの秩序性はクモよりも圧倒的に高かったのです。

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こうした高い秩序性によって、引っ張ったときに糸に働く応力(外からの力に応じて物体の内側に生じる抵抗力)が個別の結晶にまんべんなく分散されます。そして応力が糸全体に効率よく伝えられることで、他の糸よりもきわめて高い弾性力を発揮しているのです。

しかもミノムシの糸の秩序性は、伸ばされる過程でも崩れることはなく、糸が完全に切断されるまで維持されるほどなんだとか。ミノムシのポテンシャル、恐るべし。

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さらにミノムシの糸はタンパク質の繊維でできているので、地中で簡単に分解されます。つまり、環境にもとても良い天然糸なんです。この研究成果は強力な人工繊維を作る際に活用され、地球に優しい「モノづくり」社会に大きく貢献することが期待されています。

 

天然糸にかけては自然界最強と証明されたミノムシ。今後、スパイダーマンのライバルとなるのはミノムシマンでしょうか…

 

reference: naro.affrc / written & text by くらのすけ