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ミツバチは数と記号を関連付ける! 昆虫の知能の限界に挑戦し続ける謎の勢力

Credit:maxpixel

Point
■ミツバチが0を理解し足し引きの計算ができることを明らかにしたオーストラリアとフランスの研究チームから、新たな研究報告が発表された

■今回彼らが挑戦したのは、ミツバチにある数の図形を見せた後、その数を意味する記号を当てることができるか、という実験だ

■興味深いことにミツバチたちは、数を表す記号を訓練により当てることが出来たのだが、覚えたことと逆の作業はまったくできないことが判明した

ミツバチを使った知能実験を繰り返し、定期的に報告をしている謎の勢力が存在する。

このミツバチの知能に異様な情熱を燃やすオーストラリアとフランスの研究チームについては、ここでも何度か記事にしており、「ミツバチが0を理解していること」「足し算引き算ができること」、などを次々と明らかにしている。

そして、彼らの学習ブートキャンプに強制参加させられたミツバチたちは、今回さらなる困難な学習プログラムに挑戦することを強いられたようだ。

それは数を見てそれを示す記号を当てる(または記号を見て数を当てる)という、数と記号の関連付け知能実験だ。

報告によると、ミツバチはこの訓練に耐え、見事数を表す記号を当てることに成功したという。そして、この研究からはさらに興味深い事実が明らかになっている。ミツバチは一度覚えた数と記号の関係性を逆にされると、正解が当てられなくなるというのだ。

この研究はオーストラリアとフランスの研究チームより発表され、現存するもっとも古い科学学会、ロンドン王立協会会報に6月5日付けで掲載されている。

Symbolic representation of numerosity by honeybees (Apis mellifera): matching characters to small quantities
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.0238

数を理解する動物たち

Credit: nsf / Jessica Cantlon

数を判断するというのは、非常に高度な思考であるように感じるが、実際には人以外の動物の多くが獲得している能力だ。

猫を使った実験では、量の異なる餌を乗せた皿を提示した場合、猫は多い量を選択するという報告がある。

当たり前だろと思ってしまうが、量の多い餌と少ない餌を提示された場合、無作為に飛びつくのではなく量の多い方へ飛びつくというのは、パッと見で量を推定し比較するという高度な思考を行っている証拠なのだ。

ヒトを含め、動物たちが数を認識する場合、2つのメカニズムが存在している。

1つは、サビタイジングと呼ばれるもので、4つ以下の数を一瞬で把握する能力だ。もう1つはANS(approximate number system)と呼ばれるもので、5つ以上のものについて視覚で量を捉え比較する能力だ。

この数の識別能力は進化の過程上、ほとんどの生き物が獲得していると考えられている。

これは、餌があったとき多い方に飛びつくとか、敵の数を見て撤退の判断をする、など生き残るためには視覚からすばやく量を判断する必要があったためだと考えられる。

そして、今回の研究チームは、この数を識別する力について、動物だけではなく小さな脳しか持たない昆虫(ミツバチ)も所持していることを明らかにしてきた。

しかし、人間が数を扱った高度な思考が行えるのは、さらに一歩進んで数と記号を関連付けて利用することができるためだ。

果たして昆虫であるミツバチに、それが可能なのだろうか?

どうやってミツバチに数を教えるの?

研究チームはミツバチに数を覚えされるため、Y字型の迷路を使って訓練した

迷路の入り口に2つまたは3つのオブジェクトが並んだパネルを置き、先の分かれ道にはそれぞれNまたはTという記号を記した。この実験ではNは2を、Tは3を意味している。

Credit:Royal Society https://doi.org/10.1098/rspb.2019.0238

正しいルートを進むと甘い砂糖水が与えられ、間違ったルートを選ぶと苦い汁が与えられる。訓練中は間違ったルートを選んで苦い汁を与えられても、戻って別のルートを選ぶことが許可されている。そのため、蜂は徐々に数と記号の関連を理解して正解の甘い汁を吸えるルートを選ぶようになっていくのだ。

この訓練は蜂を2つのグループに分け、それぞれに逆パターンの訓練を行った。1つは入り口に「数」を提示し、分かれ道に「記号」を置くもの。もう一つは入り口に「記号」を提示し、分かれ道に「数」を置くものだ。

結果、どちらのグループのミツバチも、数と記号の関連を記憶し、正解ルートを選ぶようになった。

ところがである。このグループの迷路を入れ替えて逆のことをさせると、途端にミツバチは正解ルートを選べなくなるのだ。

数を見てから対応する記号を覚えていた蜂たちは、記号を見せても正解の数を選ぶことはできず、記号を見てから対応する数を覚えた蜂たちは、数を先に見せられても対応する記号から正解ルートを選ぶことはできなかったのだ。

これはなかなか興味深い結果だ。

蜂たちは、数と記号の関連を理解しているように思えたが、その理解は一方通行なもので、関係性を逆転させて考えることはできないのだ。

逆転の発想

一度覚えた物事の関連性を逆転させて考えるというのは、一見簡単なことであるように思える。しかし、物事の可逆性を理解するというのは実は意外と高度な思考であるようだ。

教育の研究でも、子供にものの「操作」や「逆転の行動」を理解させることは精神発達に非常に有効であると報告されている。

スイッチを入れてライトが光るおもちゃを子供に与えた場合、逆に操作すればライトは消えると判断できるようになる。また、コップに入れたミルクをひっくり返してしまうと、元に戻すことはできないということも理解する。

こうした思考は行動の順当、逆転の関係を理解することで鍛えられ、自然と想像力の発達に繋がっていく。

しかし、ミツバチはこの順当、逆転の関係が理解できないようだ。

こうした、非常に小さい脳しか持たない昆虫の思考動作を研究することは、我々が高度な思考だと考えているものが、実は非常に単純なアルゴリズムで実現できる可能性を提示してくれる。それと同時に、我々がとても簡単なことだと考えていたことが、実はとても高度で再現が難しい思考であることも提示してくれるのだ。

立て続けにミツバチの知力に関する研究報告をされると、なんでこのチームはミツバチの知力をそんな必死に研究しているんだ、と思わないでもないが、実は彼らは非常に意義のある研究しているのだ。

これは人工知能の開発や、人間の脳の発達や思考についても、有意な知見を提示してくれるのだ。

ミツバチが2つの刺激の関連を逆転できない理由は現在のところ不明だという。しかし、彼らにしてみれば「その発想はなかった」と言うことなのだろう。

©集英社 ジョジョの奇妙な冒険

逆に考えるんだ。

ポジティブになれる魔法の言葉は、やはり天才の発想だったようだ。

AIが教えてないのに突然「数の概念」に目覚める

reference:rmit,phys/written by KAIN