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ハエの「記憶」は世代を超えて遺伝していた

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Point

■ショウジョウバエは後天的に獲得した行動の記憶を次世代に遺伝させていることが判明

■メスのハエは幼虫が蜂によって寄生されないよう、蜂の嫌がるエタノール臭のする食べ物の中に産卵するようになる

■この行動形態は5世代にわたって継承され、その後蜂にさらされる前のレベルにまで戻っていった

40%の人が幼少期の「架空の記憶」を持っているという研究

ダートマス大学の研究により、ショウジョウバエ(学名:Drosophila melanogaster)は後天的な記憶を親から子へ遺伝させていることが判明した。

ハエには寄生蜂から幼虫を守るため、エタノール臭のする食べ物に卵を産み付ける習性を持つものがいる。これは種の本性に根ざすものではなく、後天的に獲得した行動形態だ。

そして経験的に獲得されたこの行動記憶が、数世代にわたり子孫に継承されていたのである。

研究の詳細は、7月9日付けで「eLIFE」上に掲載されている。

Transgenerational inheritance of ethanol preference is caused by maternal NPF repression
https://elifesciences.org/articles/45391

後天的に産卵形態を変化させる

研究チームは、ショウジョウバエにかかる環境的ストレスがどれほど後続する世代の行動様式に影響しうるのかを調査した。

研究主任のジュリアナ・ボズラー氏は「神経的に符号化された身体運動が世代間で遺伝することはないが、反対に環境因子によって引き起こされ修正された行動は記憶として次世代に伝わる可能性がある」と指摘している。

環境ストレスにより修正・獲得されるハエの行動とは次のようなものだ。

ショウジョウバエの幼虫は寄生蜂にさらされると、体内に卵を産み付けられ栄養分として食べられてしまう。それを防ぐためショウジョウバエのメスは、自らの基質産卵をエタノール臭のする食べ物の中に変化させていたのだ。

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基質産卵とは、安全であると思われる特定の場所に卵を産む生物の行動形態だ。例えば小魚には流木や石に卵を産み付けるものがいるように、ハエも蜂が嫌がるエタノール臭を利用することで、幼虫たちを守るようになったのだ。

記憶の遺伝は永続的ではない

実験ではメスのショウジョウバエとメスの蜂を、卵が収集される前の4日間に渡って共生させた。その後、ハエは卵のおよそ94%をエタノール臭のする食べ物の中に産み付けていることが判明している。

そして蜂の脅威にさらされた卵は、親のハエや蜂との接触を一切断って成虫まで育てられている。すると第一世代の子孫には親や蜂との接触がまったくなかったにも関わらず、エタノール食物の中に産卵する行動形態が遺伝していたのである。

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驚くべきことにエタノール嗜好性は5世代にわたって受け継がれ、その後蜂にさらされる以前のレベルにまで徐々に戻っていった。これはつまりエタノール嗜好の遺伝が永続的なものではなく、むしろ危険性がなくなったら忘れ去られる可逆的なものであることを証明しているのだ。

ボズラー氏は「今回の発見がハエのみならず他の生物についても、遺伝形式が則っている根本メカニズムについて理解を深める一助となるかもしれない」と期待を寄せている。

 

もちろんこれは「親が陰キャなら子も陰キャに」といった恐ろしい話ではない。ただし人間でも食生活や運動、喫煙やお酒の習慣は影響を受けている可能性があるようなので、「悪習を改める」くらいは意識はしてもバチは当たらないかもしれない。

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reference: dartmouth / written by くらのすけ