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エキゾチックな「らせん状電子」を発見!太陽電池やディスプレイなどに応用可能

Credit: Hsiang-Hsi (Sean) Kung/Rutgers University-New Brunswick
Point
■ビスマスセレナイドの表面に回転する光子を当てることで、同じ方向に回転する電子が放出される
■これは「カイラル表面励起子」と呼ばれる現象で、電子が、電子の不足した正孔と呼ばれる穴と対になって回転し、対消滅して光を放射する
■カイラル表面励起子の仕組みについて、詳しいことはまだ分かっていない

原子を構成する電子の1つが素粒子に置き換わった状態の原子を、エキゾチック原子といいます。

ラトガース大学の研究で、惑星のように回転するエキゾチックな形態の電子が発見されました。この発見により、照明や太陽光電池、レーザー、ディスプレイなどの分野で進歩が見られるかもしれません。

この現象は「カイラル表面励起子(れいきし)」と呼ばれており、結びついた電子と正孔から成るもので、固体の表面上でお互いをくるくると回ります。発見は「PNAS」誌で発表されています。

Observation of chiral surface excitons in a topological insulator Bi2Se3

https://www.pnas.org/content/early/2019/02/19/1813514116

太陽電池やディスプレイなどに応用が可能

カイラルについて説明するために、よく右手と左手の例えが使われます。それぞれは同じ形をしていますが、非対称な鏡像を重ね合わせることはできません。

「励起子は強い光が固体表面を照らした際に形成されます。負に荷電した電子が追い出されて、その穴には正に荷電した『正孔』が残るのです」と、筆頭著者であるラトガース大学大学院生ショーン・カンは語ります。時計回り、あるいは反時計回りの光子がぶつかることで、それぞれに対応した回転をする電子が放出されるのです。

電子と正孔は高速回転するコマに似ています。電子は最終的には正孔に向かって螺旋状に落ちていき、数兆分の一秒後には対消滅して、「フォトルミネッセンス」と呼ばれる種類の光を放射します。そしてこの発見は、太陽電池やレーザー、テレビやディスプレイといった装置への応用といった可能性を秘めています。

仕組みについてはまだ「不明」

カイラル励起子が発見されたのは、ビスマスセレナイドとして知られる結晶の表面です。ビスマスセレナイドは大量生産が可能であり、常温で電子素材のコーティングにも使えます。

「ビスマスセレナイドは、『トポロジカル絶縁体』と呼ばれる量子素材の仲間に属している魅力的な化合物です。表面に効率の高い伝導性をもった経路を備えています」とグリッシュ・ブルームバーグ教授は語っています。

カイラル励起子の仕組みはまだ明らかになっていませんが、科学者たちは将来の研究では超高速撮影を用いることを考えています。また、カイラル表面励起子は、他のマテリアルの表面においても見つかる可能性があります。

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reference: Phys.Org / written by SENPAI