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「星のソムリエ」が国立天文台野辺山の見どころを紹介します!

 

「星のソムリエ」が国立天文台野辺山の見どころを紹介します!

2019年、天文関係でもっとも注目されたニュースといえば、史上初、ブラックホールの撮影が成功したことでしょう。

Credit: EHT Collaboration

それを可能にしたのが、電波望遠鏡です。日本にも世界最大級の45m電波望遠鏡が野辺山宇宙電波観測所(国立天文台 野辺山)にあり、見学に行くことができます。なお、今週8月24日は、年1回の特別公開日なのだそう!

その前に一足早く見学してきましたので、行く前に知っておくとより楽しめるポイント見どころをご紹介します。

なぜ野辺山に観測所があるの?

野辺山宇宙電波観測所は長野県南佐久郡にあり、最寄り駅は野辺山駅です。野辺山駅の標高は1,345.67mで、日本の普通鉄道の駅としては日本一高い地点に位置しているとのこと。

電波望遠鏡は天体からの電波を受信しますが、その電波はとても弱いので、標高が高くて水蒸気が少なく、人工の電波に邪魔されないところに設置する必要があります。

野辺山のよく晴れてからっとした気候と、周りが山で囲まれて、都会からの電波を遮る環境は宇宙電波の観測に最適なのだそう。

そんな天体観測の専門家にとって「聖地」である野辺山に、野辺山宇宙電波観測所は1988年、国内初の宇宙電波観測所として建てられました。それから30年以上、電波望遠鏡を使った観測と研究の国際的な拠点になっています。

実際に見学してきた

東京からは車で2時間半。筆者は「星のソムリエ」として、ときどき観望会で星の解説をしているのですが、同期の星好き仲間5人で来訪しました。

見学ルートのマップは以下のようになっています。

なお、人工の電波が観測を邪魔するので、スマホなどの電源はオフにしなくてはいけません。

まず、はじめに目につくのが立ち並ぶ大きなパラボナアンテナ。「ミリ波干渉計」といい、おもに天体の様子を細かく観測するのに使われていたそうです。

現在は科学運用は終了したものの、近年数々の発見で有名な、南米チリにあるアルマ望遠鏡に技術は受け継がれています。冒頭のブラックホールの写真の撮影にも、アルマ望遠鏡は協力しています。

電波望遠鏡ってどういうものなの?

そもそも、電波望遠鏡は観望会で使うような望遠鏡と何が違って、何ができるのでしょうか。

観望会などで望遠鏡をのぞいた場合、私たちは満月が丸い形状で明るいことや、星の色が青っぽい、赤っぽいなどの色の違いが目でわかりますよね。これは可視光で宇宙を見ています。目に届く光が電気信号に変換されて、脳に伝わることで「明るさ」や「色」を認識しています。

私たちは直接電波を見ることはできませんが、装置で電波を検出できるので、分析することで新たな世界を「視る」ことができるわけです。  

電波望遠鏡で何が観測できるの?

電波で宇宙を視ると、「どの方向からどれくらいの強さの電波がきているか」で、どんな天体がどのような電磁波を出しているかがわかります。具体的に観測できるのは、以下のようなもの。

1.太陽の謎に迫る

突発的な爆発現象「フレア」の発生源といわれる「彩層」や「コロナ下層」の様子を詳しく調べられる。

2.星が生まれる領域が観察できる

星が生まれる場所は濃いガスやダストに覆われていますが、電波は低い温度をとらえるだけでなく、透過力があるので観察が可能。分光観測でどんな物質があるかまでわかるそうですよ。

3.初期の宇宙がわかる

宇宙は膨張しているため、銀河から届く電磁波もどんどん引き延ばされ、波長が長くなります。昔は赤外線や可視光線だった電磁波が、いまは波長が伸びて電波として観測が可能になり、ビッグバンの残光である「宇宙背景放射」も電波望遠鏡で発見されたのだとか。

4.ブラックホールの観察

ブラックホールそのものは光がまったくないので見えませんが、その周辺のガスからは強い電磁波がでています。銀河の中心で強い磁場が発生していたり、周囲のガスが回転したりする様子を観測することで、銀河の中心にはブラックホールが存在するということが明らかになったそう。

ほかにも銀河の生まれ方や進化を調べるなど、さまざまなことが観測できます。ちなみに、宇宙人を探すなんてことも。1960年代に、すでに電波望遠鏡を使って宇宙人の発信する電波の受信をこころみる「オズマ計画」が行われていました。子どもの頃本で読んでワクワクしたものです。

「みんな!オラに力を分けてくれ!」的な電波望遠鏡の能力

また、電波望遠鏡には1つの鏡(パラボナ面)で運用する「単一鏡」と、小さいパラボナアンテナを複数使って観測する「干渉計」の2種類があります。

「干渉計」は小さいアンテナをたくさん広範囲に展開させることで、直径の大きなアンテナと同じ働きを得ることができるのだとか。

実は冒頭のブラックホールの初の撮影もこれによるもの。世界各国の観測所がタイミングを「せーの」であわせ、一斉に観測を行ったからこその成果なのだそう(なんという『ドラゴンボール』感)!

さきほどの「ミリ波干渉計」も名前のとおり干渉計なので、6台あわせて最大直径600mの電波望遠鏡に相当する観測ができるとのこと。

配置をかえられるよう、側に線路が通っていますね。

足元の部分にある、このくぼみにレールがはまるのでしょうか。フォーメーションを変えるのも大変そうです。

とにかくでかい。45mの電波望遠鏡は巨大すぎてカメラに入れるのが大変

何より1番の目玉は世界最大級という、「45m電波望遠鏡」。ミリ波観測では世界最大級の口径をほこる、精度の高いアンテナと最新鋭の受信機を備えているとのこと。30年以上第一線で活躍する現役です。

立ち入れるギリギリの場所に立っている、筆者の身長は167cmです。

ただ、ちょっと残念だったのが、アンテナが真上を向いているのは休止中とのこと。夏は水蒸気が多いので観測に適さないからです。

大気が澄んで電波の受信状態が良くなる12月~5月は、24時間体制で昼も夜も観測しているそうですよ。電波望遠鏡だと昼間も観測できるメリットがあります。

近くに寄って見上げてみました。

ネームプレートがありました。

別角度から。

側の建物に「ぷち観測台」が…。上がってみましょう。

あがると展示室の入り口があります。展示室には観測所の活動の動画紹介やポスターが見られて、クイズなどができるそうですが、この日は入れず。

見渡すと風景の中に、小さく「電波ヘリオグラフ」が並んでいるのが見えます。

この「電波ヘリオグラフ」は84台あり、84台のアンテナをつなぐことで、太陽の画像を撮影する電波望遠鏡です。

お地蔵さんみたいなやつが…。

近くに寄ると、ずらっと並んでいる様子はなかなか壮観ですよ。

ちなみに、乃木坂46の『新しい世界』のPVが、この「電波ヘリオグラフ」の前で撮影されています。

Credit: © 国立天文台

実際に宇宙の電波をとらえてみよう

野辺山宇宙電波観測所には、体験して楽しめるものも用意されています。その1つが、「ミニアンテナを操作して、宇宙からの電波をとらえてみよう」(12月~3月は休止)。

小さいパラボナアンテナを、こちらのゲームの筐体ぽいもので向きや角度を変えます。

うまく受信できると、音楽が鳴るとのことなのですが。

まず、電波が出てるものといえば、太陽だよね…と影を見ながら太陽にあわせたものの、うまくいかず(皆さん先に説明書を読まず、とりあえずやってみるタイプ)。

それから解説をよく読んで、あーだこーだ言いながら、目盛りにあわせるも、音は鳴らず。

電波の受信って、難しいんですね!

巨大な「パラボラ糸電話」でお話ししてみた

焦点(中央の円)に向かって喋ると、話した声が放射状に広がり、パラボラが反射して反対側のパラボラにまっすぐ進みます。反対側のパラボラにそれがあたると、また焦点に集められ、ひそひそ声でも聞こえるという仕組み。

2つのパラボラ間は30m離れています。聞き手側の話によると、「すぐ後ろで喋ってるみたい」とのこと。

このパラボラの性質を利用して、この野辺山宇宙電波観測所は宇宙からのとても弱い電波を集めているそうですよ。

日時計で時間を確認してみよう

大きな日時計もありました。影が落ちている部分を読むのですが、太陽って時間だけでなく、季節によっても位置が変わりますよね。

本日の日付から、誤差を修正する対応表が下にありました。

このほか、「自然科学研究機構 野辺山展示室」が敷地内にあり、自然科学研究機構に属する5つの研究機関が行っている研究を知ることができます。

国内で2カ所でだけ見られる4D2Uシアター。三鷹との違いは?

そして、「自然科学研究機構 野辺山展示室」では、4次元デジタル宇宙シアター4D2Uシアター)を見ることも可能。国内ではここと、東京都三鷹にある国立天文台で見ることができます。

今回は、太陽系や太陽系外の領域、さらに広がってそれらが所属する天の川銀河などが、目の前で浮きあがるかのようにさまざまな角度で説明されました。また、スパコンの活用でコンピュータのなかに宇宙のマップができるという考え方などを知ることができました。

三鷹の国立天文台の4D2Uシアターも行ったことがあるのですが、違いは、三鷹は映画館のような完全に独立した席に座る完全なシアターなので没入感が高いです。いっぽう、こちらは普通に並べられた椅子に座り、人がずっとナレーションをしているので、距離感が近く、少しアットホームな感じかもしれません。

特別公開日の注目イベントはこれ!

8月24日の特別公開日には、「45m電波望遠鏡の主鏡に直に触れる」「45m電波望遠鏡が動くところを見られる」「第一線で活躍する研究者の講演を聞ける」など、普段の見学ではできないことが体験できますよ(詳細はこちら)。

年1回しかないチャンスなので、興味のある方は行ってみてはいかがでしょうか。

今回は都内が37℃のときの訪問でしたが、野辺山は気温も湿度も低く、日陰に入るとさらっとした風が吹いていて、気持ちが良かったですよ。特別公開日でなくても、週末にのんびりと小旅行気分で行くのも良いと思います。

オリジナルのゆるキャラ(?)「のべやま先生」にも会えますよ。特別公開日のみの出勤のはずなのに、事前準備のためか遭遇。

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Reference: 野辺山宇宙電波観測所, 国立天文台(アルマ望遠鏡)自然科学研究機構